2024 年 5月 3日 (金)
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子供の楽器レッスンに入り込むスタートアップ……親も投資家も魅せられた

Startup Story ~~ 成功のカギ

ムンダ シン・ジヒョン代表

ムンダ シン・ジヒョン代表©MONEY TODAY

専門教育に限らず、趣味のため、教養のため、早い時期から子供に音楽・美術教育を施す風潮が高まり、その市場も急速に成長している。韓国全体のプライベートレッスン市場規模は2019年基準で21兆ウォン。このうち芸術・趣味の教育費は5兆5000億ウォンに達する。特に、音楽と美術はこの半分近く、2兆7000億ウォンを占める。

2020年創立の「ムンダ」は、幼・初等教育における楽器教育(レッスン)のO2Oプラットフォームを運用する。創業初期には、韓国各地の文化センター講座情報を総合してカスタム講座を分析するサービスとして始まり、3〜4回の事業転換を経て、2021年10月、幼・初等教育における楽器授業プラットフォームを公開した。

良い先生を探すこと、プログラムに関すること、アフターケアまで一度で解決できる、という。保護者がムンダに、子供にどんな楽器をやらせたいか、その子供はどんな性格か、どんな先生を希望するか――などを入力すると、24時間以内に実力・身元が裏付けられた先生を推薦してくれるという仕組みだ。また、このほか、担当のマネージャーを通して、レッスンの管理もできる。

「シンプルに、知人の紹介やインターネットの検索により、先生を探すプロセスを新しくします。少しでも早く、子供に最適な先生を推薦することができるよう、サービスを高度化していきたいです」

ムンダのシン・ジヒョン代表はこう意気込む。

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◇子供教育の隙間を攻略

ムンダは教育関連の後発企業だ。ただ、その隙間領域を上手に深入りしたという評価を受ける。子供を対象にした楽器レッスンという領域はプライベートレッスン関連スタートアップが事実上、進出してこなかった市場だ。

既存の「Soomgo」「Kim study」「Somssidang」などの専門家に接続するプラットフォームは、音楽より一般教科・教養に特化したものだ。一方、音楽教育に特化した「Lessonall」「Lessonara」などのサイトは、利用対象が中高生や大人だ。「Jaranda」など子供教育プラットフォームでも音楽教育の専門性の部分で差が生じる。

デジタルによる変化をとらえた新たなサービスがなかったため、市場はいまだに断片化された状態だ。保護者は楽器レッスンを受けさせようとすると、アパートの掲示板に貼ってある家庭教師パンフレットを見たり、知り合いを通じて塾や家庭教師の先生の紹介を受けたりする状況だ。

「これまで、子供が楽器レッスンを受けようとすると、両親が汗をかいて良い学校や先生を探すというのが唯一の方法でした。なので、先生に関して、基本的な履歴、子供に合った授業ができるのかどうか、事前に確認する方法がありませんでした」

これがシン代表の認識だった。

◇相性ぴったりの先生の紹介からレッスン楽器レンタル

ムンダが他のプラットフォームと差別化を図っている部分――それは子供の傾向に合った先生とつながることだ。確認手続きを通して、分野別の専門家150人以上を選抜した。ソウル大、延世大、梨花女子大、米バークリー音楽大など、国内外の名門大出身のプロだ。また米ブロードウェイのミュージカル企業と提携し、ブロードウェイ出身の専門家も集めた。

他の強みは、合理的な費用算定方法だ。レッスン費用は教育水準・回数などにより2万〜20万ウォン前後。週1回のレッスンの場合、月平均費用は14万ウォン前後だ。高額の楽器負担を抑えられる方法も整えた。シンプルなレンタル方式では、電子ピアノ、クラリネット、フルート、バイオリンなど必要な楽器を月平均2万〜5万ウォンで借りて使うことができる。

また、ブロードウェイ専門家を起用した英語ミュージカルキャンプも企画中だ。「需要が高いピアノ、バイオリン、フルート、クラリネットの4大楽器レッスンを中心に、徐々に楽器項目を増やしていく計画」(シン代表)という。

◇成長潜在力に注目

「銀行圏青年創業財団」(D.CAMP)はムンダの成長潜在力に注目し、最近、初期段階の投資をした。同財団以外にも「VNTG」などが参加。投資金額は非公開、企業価値は40億ウォン未満と推定される。

今回の投資を発掘した同財団投資マネージャーのカン・ミンチョ氏は「ムンダが目標とする文化・芸術教育市場はいまだに断片化され、デジタルによる変化が遅い領域。先行するO2Oフラットフォームのように、利用者と接続業者間の情報の非対称性を減らしながら、有意義な成長を期待できます」とみる。

カン氏は特に、ムンダ創業チームの技量に注目する。

「ムンダは、20代の若い創業者たちが立ち上げた極初期段階のスタートアップ。目の前の成長指標より、創業チームの情熱・意思など感情の部分で大きな可能性を秘めています。今年もムンダような創業1〜2年の超初期スタートアップ20〜30社への直接投資を増やしていく計画です」

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