2024 年 11月 27日 (水)
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人間のように器用なロボットの手…秘訣は世界最小の「K-センサー」

Startup Story ~~ 成功のカギ

AiDINロボティクス イ・ユネン代表

AiDINロボティクス イ・ユネン代表©MONEY TODAY

チキンを揚げて、コーヒーを作る――ロボットが日常の中に入り込み、人間とコラボする時代になった。ロボット工学技術(ロボティクス)により、運動コーチングマシーンなどが自動化されたためだ。

だが、ロボットが人間と共存するには、人間と同レベルの力、触覚、技術、近接センサーなどの搭載が不可欠。ロボットがプレス機械に体を挟まれるというような不意の事故を防ぐためだ。

「ロボットと人間が空間を共有するうえで、最も大切なのは『安全』なのです。人間とロボットが相互作用し、より安全な社会を作るための製品を開発しています」

AiDINロボティクスのイ・ユネン代表はこう強調する。

同社は、ロボット関連のセンサー・部品の技術で注目されているスタートアップ。ロボティクス分野の専門家である成均館(ソンギュングァン)大機械工学科のチェ・ヒョンニョル教授、研究室出身博士のイ・ユネン代表が2019年11月に設立した「研究室創業」の企業だ。

「博士課程の中で、研究室に蓄積された優れた技術が研究室だけで終わってしまったらとても惜しいと思ったんですよ。私たちが持つ国産技術が産業分野に普及したら、ものすごく役立つだろうなと考えました」

イ・ユネン代表はこう明かした。

◇1995年から「フィールドセンシング」技術蓄積

AiDINロボティクスは1995年以来蓄積してきたフィールドセンシング(Field Sensing)技術に基づき、新たなセンサー・部品を研究開発した。商品化した中心的な製品は△フォーストルクセンサー△近接センサー△四足歩行ロボット――などだ。

特に世界一小さい、10mmの超小型「6軸フォーストルクセンサー」を開発し、注目を集めた。「XYZ軸で発生するフォーストルクをすべて測定します。人間で例えると、皮膚で力を感じる、というような感覚を、ロボットにデータとして与えられるセンサーです」

©MONEY TODAY

AiDINロボティクスのフォーストルクセンサーはユニバーサルグリッパー(Gripper)などに内蔵できる。グリッパーとはロボットにおける手であり、モノを握ったり置いたりするような装置だ。

流通・物流作業の現場では数千のモノを分類する。これまでのグリッパーは限られたモノしか扱えなかった。だが、ユニバーサルグリッパーは適度な力で多様な物体を扱うことができる。その実用性は爆発的に成長する可能性を秘めている。

AiDINロボティクスは産業通商資源省主管の「ロボット産業革新技術開発事業」に選ばれた。現在、成均館大・韓国生産技術研究院などとともに、多品種ランダム・ピースピッキング(Piece Picking=モノをつかむ行為)が可能な認識技術やグリッパーの研究開発を進めている。

「事前に物体に関する情報を知らされていなくても、傷つけることなく、素早く、正確につかむグリッパーシステムを開発します。物流ロボット分野に合ったソリューションを供給して、物流環境を積極改善していくつもりです」

イ・ユネン代表はこう意気込む。

©MONEY TODA

◇医療・ヘルスケアにも

もう一つの中心的な技術が近接センサーだ。既存の衝突感知センサーを使用したロボットの場合、衝突が起きたあとで動作を止めてきた。だが、AiDINロボティクスは、周辺の電磁場の変化を通じて、人やモノに近づいた時、回避・停止ができるようにした。

特にカメラやLiDAR(ライダー=レーザー信号技術)を使ったロボットの場合、ごく近接した距離や、ガラスのような素材を正確に測定できない。一方、AiDINロボティクスのセンサーは20~30mm範囲で何かが接近していることを感知し、事前に停止させることができる。

また、研究室で十数年間、開発してきた四足歩行のロボット「AiDIN」は同社の技術力を見せつける象徴的な製品だ。平地・階段・険しい土地など複合地形で毎時3kmの歩行速度で5kg以上を積載しながら、監視・点検・偵察の役割を果たすことができるのだ。

AiDINロボティクスはロボット技術分野を超えて、ヘルスケア・医療機器にもセンサーを適用する計画だ。「『歯科の矯正装置を作る際に設計通りに力が作用するのか』とか『運動する際に運動器具にいかなる力がかかるか』のような力に関するデータの蓄積があります。それゆえ、医療やヘルスケア分野での拡張できる可能性が高いと思います」

国産化したロボットセンサー・部品を通じて、韓国のロボット産業の競争力を高めるのが目標だ。「中国などの外国産の安価なロボットや部品が輸入され、韓国内で技術力の成長の可能性が阻害されています。国内企業が競争力を高めるためのセンサーや部品の国産化に力を注ぐつもりです」

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