2024 年 4月 30日 (火)
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「戦闘機が衝突してもびくともしない」…韓国の新ハヌル原発に行ってみた

新ハヌル原発2号機の全景(c)KOREA WAVE

韓国で原子力発電所は国家保安施設として管理されている。もし、原発が戦闘機などテロの対象になったらどうなるだろうか。憂慮はそれだけではない。多量の海水を利用する原発の特性上、海辺に位置する場合が多く、地震や津波など自然災害による被害の可能性も考えられる。最近商業運転を始めた慶尚北道蔚珍(キョンサムプクドウルジン)郡の「新ハヌル2号機」を11日に訪ね、状況を調べた。

原発を運用する「韓国水力原子力」に申請をした後、身元確認を経て臨時出入証の発給を受け、ようやく発電所内部に入ることができた。写真撮影などは厳しく統制され、携帯電話は預けなければならなかった。

新ハヌル2号機は容量1400MW級の新型軽水炉で、APR1400の炉型だ。この炉型は運用許可期間を従来の40年から60年に延長し、耐震性能を従来の0.2Gから0.3Gに強化した。アラブ首長国連邦(UAE)に輸出した原発も同じ炉型だ。

韓国水力原子力(韓水原)職員の案内を受け、新ハヌル2号機の内部に入った。発電所内部は象牙色を帯びているが、一般ペイントではなく水と火、放射線から構造物を保護する防護塗装だ。火災に備えた赤色の防火設備配管もある。防水ドア、防火ドアなど発電所内部のドアに一般ドアはない。非常発電機など主要設備はすべて地上に設置し、浸水に備えた。

台風で塩害が発生し送電線などに電気火花が散る現象を防止する措置もとった。新ハヌル原発のイ・ソヨン電気部長は「外部に露出した設備を密閉型で構築するよう設計を変更した」と話した。

新ハヌル12号機の全景(c)KOREA WAVE

新ハヌルはテロなどによる被害を防止するために堅固な格納建物を建てた。韓水原によると、新ハヌル原発格納建物の高さは、マンションの27階に当たる76.66メートルで、外壁の厚さは122センチだ。主蒸気配管など補強が必要なところは197cmもある。一般的なマンションの外壁は厚さ20~30センチなので6倍以上である。

米国で27トンのファントム機を時速800キロの速度で原発の外壁と同じ条件のコンクリート壁に衝突させる実験を実施した際、飛行機は形がわからないほど破壊されてもコンクリートの外壁は5センチほど損傷しただけだったという。

原発の頭脳部にあたる主制御室では厚さ6.7センチ、重さはなんと346キロという防弾・防火扉を見た。ここでは11人が1組となり、計6組が順番に勤務する。日差しも入らない278.7平方メートルの空間だ。

新ハヌル2号機の主制御室(c)KOREA WAVE

主制御室の隅にアナログボードがある。デジタル制御盤が故障した時のための設備だ。主制御室の常駐が不可能な場合に備えた隠し部屋もある。普段は目に触れない「原発停止制御室」だ。ここで発電所を安全に停止することができる。制御設備はすべてインターネットと分離され、ハッキングされる可能性を遮断している。

続いて入ったタービンルームは電気を生産するところだ。原子力発電所では核分裂により発生した熱で蒸気を作り、その蒸気が発電機に連結された回転翼(タービン)を回して電気を作り出す。タービンが回転しながら途方もない音を出しており、隣の人との会話も容易ではない。回転しながら熱も発生し、氷点下の天気にもタービンルームは30度ほどを維持している。

新ハヌル2号機タービン室内部全景(c)KOREA WAVE

昨年6月、実施計画の承認を取得した新ハヌル3、4号機の敷地も視察した。41万坪の敷地に赤い旗で3号機の原子炉敷地が、青い旗で4号機の原子炉敷地が表示されている。新ハヌル3号機は2032年、4号機は2033年の竣工を目標にしている。全体の建設工事費は11兆7000億ウォンと予想されている。

韓水原は今年上半期中に原子力安全委員会の審査を経て、新ハヌル3、4号機の建設許可を取得する計画だ。ソ・ヨングァン新ハヌル第2建設所長は「国家産業の成長速度に合わせ、エネルギー供給が必要な状況だ。3、4号機は竣工すればこのような側面で国家、地域経済に寄与するだろう」と予想した。

新ハヌル3、4号機の敷地(c)KOREA WAVE

韓水原は新ハヌル3、4号機の建設期間を約8年間と見込み、総人員約720万人が参加するため雇用創出にもつながり、運営期間60年間で2兆ウォンの法定支援金をはじめとする各種直・間接的な地域経済活性化効果があると期待している。

(c)KOREA WAVE

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