「目の前で買おうとしていたパンが全部なくなったのですが、おかげでとてもラッキーなことに、私は出来立てのパンをいただくことができました。やっぱり幸運は私の味方!」
待つことに不満を抱くより、状況にポジティブに対処する韓流ガールグループ「IVE(アイブ)」メンバー、チャン・ウォニョン。辛かったり難しかったりする状況を、肯定的に解釈する「超肯定話法」=「ウォニョン的思考」が最近、韓国の若い世代を中心に流行している。
チャン・ウォニョンの英語名「ビキ」に由来する「ラッキービキ」がミーム(インターネットで拡散される流行語、造語など)になっている。
金融業界2年目のホンさん(24・女性)。「もともと感情の起伏が激しく、些細なことでイライラする。対人関係に困ったことが年に1、2回は必ずあった。『ウォニョン的思考』で前向きになってみたら、深刻だと警戒していたことが、大したことではないと思えるようになった。ウソみたいなことけど」
困難な環境の中でも自ら幸せを見つけようとする態度が肯定的な評価を受けている。
心理学者らは「肯定心理学の観点からみれば、ウォニョン的思考は、個人や社会にとって望ましい現象だ」とみる。自ら積極的に幸福を追求することで、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、交感神経も安定して免疫力も向上するというわけだ。
過去にも、20~30代を中心に「むしろ良い」「チュンキョンマ(重要なことは折れない心)」のように、自身の感情を前向きにとらえるミームがあった。
これとは反対に▽さまざまな分野で問題を提起する人を嘲笑する際に使われる「ヌカルヒョプ」(誰が刃物で脅迫したのか)▽傍観者的な態度を意味する「私の知ったことではない」の略語「アルパノ」――なども流行した。
こうした心理が投影されたミームが20~30代を中心に流行するのは、上の世代にはなかった傾向だ。
檀国(タングク)大心理学科のイム・ミョンホ教授は「1997年のアジア通貨危機の時は皆が落ち込んでいて、将来も否定的だという雰囲気が漂っていた。今の若い世代は『虚無的な言葉』だとしても、ポジティブな言葉をたくさん吐き出し、感情を共有するという点は肯定できる」と指摘する。
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