2024 年 5月 6日 (月)
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「パン不要。ステッカーだけください」…商品よりおまけに価値?

  現場ルポ  

アイドルグループの写真が入ったイーマート24のコーヒーカップ(写真=イーマート24)©MONEY TODAY

最近、コンビニ「イーマート24」の各店舗では、即席コーヒー豆の「ホットアメリカーノ」の価格1000ウォンを決済してカップだけ持っていく顧客をよく見かける。アイドルグループ「トレジャー」の写真入りのイープレッソコーヒーカップを持っていくためだ。少なからぬ客らが、カップをきれいな状態で所持したいため、コーヒーは受け付け取らず、カップのみを受け取るということだ。

流通業界では近ごろ、風変わりなマーケティングブームが起きている。「ワグザドッグ(Wag the dog)」。「しっぽが胴体を揺さぶる」という意味で、顧客が胴体に該当する実際の商品よりおまけや景品により大きな価値を感じて商品を購入させるマーケティング用語だ。

これは2018年に書籍「トレンドコリア」が韓国内に紹介されたものだ。MZ世代の関心の追求と、合理的な消費傾向とあいまって、流通業界のイシューマーケティングとして持続的に人気を集めている。

アイドルグループの写真が入ったイーマート24のコーヒーカップ(写真=イーマート24)©MONEY TODAY

イーマート24は昨年も「ワグザドッグ」マーケティングを実施した。昨年7月、イーマート24は株式弁当(弁当=主食=を食べれば株式を差し上げるという企画。「主食」と「株式」は韓国語で同じ発音)を発売し、弁当購入時にランダムで株式を提供するマーケティングで大きな反響を呼んだ。20~40代の株式投資ブームにより、売り切れが続いたが、1回目の販売(昨年7月14~16日)で5万個が売れ、2回目の販売に踏み切ったが、7月28~29日にはイーマート24全体の弁当の売上は前週比56%増えた。

イーマート24は今年もバレンタインデー、ホワイトデーにダイソンのヘアシリーズなどを景品として掲げたマーケティングを実施、反響を呼んだ。イーマート24の関係者は「顧客からの反響があるため、グッズ、景品などを提供する『ワグザドッグ・マーケティング』を繰り返し実施している」とする一方で「トレジャーカップは、思いもよらないワグザドック現象が発生したケース」と述べた。

ポケモンパン©MONEY TODAY

最近、高い人気を集めているポケモンパンも「ワグザドッグ」マーケティング事例に当たる。買い物客は、昔の思い出を振り返り、ポケモンパンに同封されたシールを集めるためにポケモンパンを購入する。主客の転倒だ。

ソウル市内のコンビニに掲げられた「ポケモンパン大量供給されるまで販売しません」という案内文©MONEY TODAY

セブンイレブンのPB(自社ブランド)パンであるブレダムの人気も同様の現象と解釈できる。「ソースイートカステラ」「甘いクリームパン」「ブリオッシュあんぱん」にはポケモンのシールと似たシールが入っているが、それが知られると今月7~13日の1週間の売上が前週比3倍に伸びた。tvNドラマ「二十五、二十一」で男性主人公ペク・イジンがブレダウムのシールを集めて女性主人公ナ・ヒドに渡す場面があったことから、さらに注目を集めたというのがセブンイレブン側の説明だ。

セブンイレブン・ブレダム3種(写真=コリアセブン)©MONEY TODAY

このようなマーケティングに積極的なのはコーヒー業界だ。

特に、コーヒー界の王様であるスターバックスのダイアリーは、中古市場で販売価格より高い金額で取引されるほど人気が高く、ダイアリーを購入するため、無理やりコーヒーを飲んだり、注文後に捨てる現象まで出ている。

当面、「ワグザドッグ・マーケティング」が活発に続くだろうという見通しが出ている。特に新型コロナウイルス以後、グッズに対する消費者の需要がさらに大きくなった点も業界を刺激している。コロナによって抑えられてきた消費心理が限定版製品に投影され、異例のグッズ事態が起きているという解釈だ。

ある業界関係者は「ブランドオープンランなどが多くなり、消費者が何かの購入のため待ち、競うのに慣れたため、当分はこうした流れが起こる。限定版や供給が不足すれば、さらに購買欲求が刺激される現象が起こる」と述べた。

©MONEY TODAY

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