擬声語の伝達に貢献
K-POPがグローバル化するなか、英語なのか韓国語なのかわからない歌詞が増えました。ネイティブでさえ理解できない韓国語の歌詞が多くなったといいます。K-POPから「韓国語」の変化を探ってみました。(最終回)
◇「ウルロン」
大衆文化を通じて韓国語を学ぶ海外SNSアカウント。そこに韓国男性アイドルグループ「EXO(エクソ)」の代表曲「ウルロン」(Growl)の紹介文が記された。
「으르렁 [eureureong]:野生動物の深い鳴き声。強力な叫びまたは攻撃的な主張(roar, the deep cry of a wild animal. a powerful cry or an aggressive argument.)」
「ウルロン」を英語で翻訳する際によく使う「グロウル(Growl)」という表現の代わりに、「ウルロン」を韓国語の発音通りに「eureureong」と記した。
新概念国語辞典「ウリマルセム(韓国語の泉)」(韓国国立国語院)は副詞「으르렁(ウルロン)」について「大きくて乱暴な獣などが、怒って、大きく鳴き叫ぶ声。またはその様子」と解説している。また「ソ・ジウンと3人の作家、キム・ヒョンギュほか3人の作曲家による大衆歌謡。2013年に発表されたEXOのアルバムに収録されている」という注釈も加えられている。
外国語として韓国語を学ぶ用に制作された「韓国語基礎辞典」(同)も「으르렁(ウルロン)」を同じ意味で解釈するとともに、副詞「으르렁으르렁(ウルロンウルロン・わおんわおん)」、動詞「으르렁거리다(ウルロンゴリダ・唸る)」などの活用を付け加えた。
◇「韓国語の韻律は面白い」
K-POPは「ウルロン」のような韓国語の擬声語を世に広めるのにも大きく貢献をしている。
特に、K-POPボーイズグループのパフォーマンスの分岐点になったEXOの「Growl」は特筆される。大衆文化において、少女を守ってくれるコードとして活用された「オオカミ少年」のイメージを、「ウルロンウルロンウルロンデ(唸りまくる)」という擬声語とともに、本格的な「キレのあるダンス」で表現したからだ。
EXOのコンサートで海外ファンは「ウルロン」と力強く合唱する。「ウルロン」のような擬声語によって「韓国語の韻律は面白い」と反応する海外ファンも大きく増えた。
韓国語の擬態語を世に広めた曲もある。
第2世代の看板K-POPガールズグループ「少女時代」の代表曲「Gee」だ。
「Gee」の歌詞のうち「너무 반짝반짝 눈이 부셔(キラキラすぎて目が眩しい)」の部分だ。英語で翻訳すると「Twinkle Twinkle」だが、ファンは韓国語をそのまま記した「banjjak banjjak(パンチャクパンチャク)」と書いて読む。
◇意味のない擬声語・擬態語は自制
K-POPは歌詞に合わせてダンスをつける戦略を取る。K-POPの生き生きとしたイメージを通じて、韓国語の擬声語・擬態語に活力が生まれ、海外に広まっている。
海外の音楽ファンが韓国語を理解しやすいよう、一時的にK-POP界に意味のない擬声語・擬態語が乱発したことがあった。しかし、最近は、韓国文化の普及とともに、それを自制する雰囲気も出てきた。
アルバム製作関係者は「2010年代半ばまでは、何としても海外の音楽ファンの耳をひきつけたと考え、脈絡なく擬声語・擬態語を使って、韓国語に悪影響を及ぼしたことがある」と指摘する。
そのうえで「K-POPが世界的に浮上し、まず韓国語を学習する海外の音楽ファンが多くなった。今は、歌詞のニュアンスに合わせると同時に、良い意味が込められた擬声語・擬態語を探そうと努力している」と耳打ちした。
(おわり)
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