2024 年 12月 26日 (木)
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[KWレポート] K-POPの韓国語探訪 (3)

しっかりした方言

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K-POPがグローバル化するなか、英語なのか韓国語なのかわからない歌詞が増えました。ネイティブでさえ理解できない韓国語の歌詞が多くなったといいます。K-POPから「韓国語」の変化を探ってみました。(シリーズ3/5)

◇「八道江山」

「ソウル 江原から慶尚道 忠清道/ママモラカノ!(What!)ママモラカノ!(What!)」

韓国7人組アイドルグループBTS(防弾少年団)の歌を通じて韓国語を学ぶ「ウェランドゥンイ」(海外のファン)が難しいと感じる曲の一つが「八道江山」。韓国全域を指す単語「八道江山」をタイトルに掲げた曲は、自分たちのルーツを認知して幸せを探すという歌だ。

BTS初期の「スクールシリーズ」3部作のうち2ndアルバム「O!RUL8,2?」(2013)の収録曲。この「O!RUL8,2?」は「Oh! Are you late, too?」を指す。ここには「遅くならないうちに自分だけの幸せを探せ」というメッセージが込められている。

各地域の方言に韻律を合わせてラップを刻む楽しさが絶品だ。韓国の方言が美しく、楽しさあふれる言葉であることを悟らせる。メンバーがそれぞれの出身地に合わせて口ずさむしっかりとした方言が、楽しいヒップホップのリズムにぴったりとはまるからだ。

BTS新アルバム「Proof」の10日発売を前に、アーミーが実施した「『O!RUL8,2?』で最も好きな曲は」という質問に、この歌を挙げたファンも多い。BTSも「慶尚道方言は男なら使いたくなるし、全羅道の方言はすごくフレンドリー/一度口にすればoh嬉しくなるね」と歌う。

ソーシャルメディア上には、BTSの歌で韓国語を学んでいるという「#LKwBTSTutoring」のハッシュタグをつけた海外アーミーの「韓国語の方言を学ぶことは難しい。だけど『八道江山』のようにとても面白くて興味深い」という反応もある。

◇NHK教材でも紹介

最近、日本のNHKラジオでBTSの特集が放送され、その中にも「八道江山」が含まれていた。

NHKラジオが毎月発行する韓国語講座教材の昨年12月号では、韓国の地域文化と方言が紹介された。このうち練習用会話には釜山出身のJIMIN(パク・ジミン)が登場し、「머라카노?(モラカノ?)」という表現を取り上げている。

「モラカノ」は「머라카다(モラカダ)」の変形だ。新概念国語辞典「ウリマルセム(韓国語の泉)」(韓国国立国語院)によると、「モラカダ」は「나무라다(ナムラダ・叱る)」の慶尚道方言という。

韓国語のプラカードを掲げてBTSを応援する海外ファン(AP)©NEWSIS

◇アイドルが出身地を果敢に表現

世界を駆け回るBTSのメンバーだが、その中に外国籍はいない。またいずれも、ソウルではなく地方出身だ。

リーダーのRM(キム・ナムジュン)は、ソウル生まれだが、幼少期に京畿道一山(イルサン)に引っ越し、大半をそこで過ごした。JIN(キム・ソクジン)は京畿道果川(クァチョン)、SUGA(ミン・ユンギ)は大邱(テグ)、J-HOPE(チョン・ホソク)は光州(クァンジュ)、V(キム・テヒョン)は慶尚南道居昌(キョンサンナムドコチャン)、JIMINとJUNGKOOK(チョン・ジョングク)が釜山(プサン)だ。

すべての文化がソウルに通ずる、という昨今の韓国にあって、アイドルが出身地を果敢に表現し、誇りをもって歌っている――この点に共感が広がっているのだ。

「八道江山」はJ-HOPEやSUGA、RMのファンキーなラップバトル形式を取る。RMはこうラップする。「俺はソウルで標準語をよく学んだ/最近はなんだかどっかの方言がみんなの憧れらしいけど/そう認めるよ、アクセントがカッコいい」と。

結局、BTSは「結局は同じ韓国語」であると結論付ける。「見上げてごらん、こうして見つめる同じ空/ちょっと照れくさいけどどれもカッコいいよ/どの言葉も通じるじゃん?」ということだ。

BTSもやはり多様性によって、世界各地の異なる文化圏で親しまれている。韓国の「八道江山」もそれに連なっていく。方言学者たちが「八道江山」を高く評価する理由だ。

このほか、「八道江山」の歌詞のうち、方言ではない言葉で海外アーミーが難しいと感じる韓国語がある。

RMの「なんだかどっかの方言がみんなの憧れらしいけど(뭐 어디 사투리가 다 벼슬이다만)」にある「벼슬(ピョスル)」だ。「韓国語基礎辞典」(国立国語院)によると、名詞である「ピョスル」は「(昔の)国事を担う官吏の職分や地位」を指す。ただ、韓国アーミーは「ピョスル」を「BTSを有することは国民ピョスル(憧れ)」などと活用している。

(つづく)

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