業界では早い段階で、HYBEとADORが不仲がささやかれていた。
パン議長がミン代表を迎え入れ、ともにHYBEのもう一つのレーベル「Source Music」でガールズグループを売り出す予定だった。当初は、パン議長がミン代表の立場を尊重し、ミン代表もパン議長に好感を抱いていて、2人の関係は良好だった。だがガールズグループの立ち上げ過程で意見の違いが生じ、その結果、2021年にADORが設立された。その後はミン代表の関与がないまま2022年5月、Source Musicでパン議長が総括プロデューサーを引き受け、5人組ガールズグループ「LE SSERAFIM(ル・セラフィム)」が誕生した。
そして同年7月、ADORでNewJeansがデビューした。
両グループとも興行に成功しつつも、実際にはNewJeansがリードしている状況だった。このプロセスにおいて、ミン代表とADORは、HYBEの支援を受けることができなかったことから「独自にチームを成功させた」という認識を持っている。
HYBEはADORと「円満でない関係」となったことから、一部ではHYBEの「マルチレーベル戦略」(多様なブランドを育成し、子会社として独立させる仕組み)に対して再考する必要があるという話も出ている。K-POP業界にはレーベルの独立性に関連してさまざまな意見が出ている。
こうした状況のなか、NewJeansと似たILLITが立ち上がったため、ADOR側はこれを「HYBEが自分たちのブランドカラーを消すための試み」と解釈した。ミン代表とADOR側は「コピー問題」を最大の問題として扱わざるを得ない。ADORは「NewJeansのイメージが消耗され、不必要な論争の素材に引き込まれ、ファンと大衆に心配と疲労感を与えた」と主張している。
ADORは最近、NewJeansのブランド価値の侵害と関連し、HYBEに立場表明を要請する書簡を送ったりもした。しかし、HYBEとBELIFT LABが具体的な回答を先送りし、ついにはミン代表の職務を停止して解任する手続きを踏むと通知した――というのがADORの言い分だ。
HYBEはADORに対し、監査質問書に対する返事を送るよう求めている。今後、HYBEが監査などを通じて把握した内容に基づき、法的な措置に突入する。一方、ADORはこれに対抗する立場だ。ADOR側は「NewJeansが築いてきた文化的成果を守り、コピー行為によるこれ以上の侵害を防ぐため、可能なすべての手段・方法を動員する」と主張した。
ミン代表は2002年、SMエンターテインメントに公開採用の一般社員として入社した。SM退社前にクリエイティブディレクター兼取締役まで上がった。2019年にHYBEに合流し、最高ブランド責任者(CBO)として同社の序盤のブランド構築に力を入れた。
2021年11月、HYBE傘下レーベルとして設立されたADOR代表になった。2022年7月にNewJeansを立ち上げ、プロデューサーとしても力を認められてきた。
ADORはNewJeansの成功で、HYBE傘下レーベルを代表する存在となった。昨年の売上高は1103億ウォン(1ウォン=約0.11円)、営業利益は335億ウォンを記録した。米経済専門メディア「Fast Company」は先月、「2024年、世界で最も革新的な50大企業」にHYBEをランクさせ、その選定の背景としてミン代表の戦略とNewJeansの活躍を挙げた。
現在、NewJeansのカムバックを控え、プロモーション過程が円滑に進められるかが関心を集めている。NewJeansは来月24日、新たなダブルシングル「How Sweet」を発売する。これに先立ち、今月27日には収録曲「Bubble Gum」のミュージックビデオを先行公開する。
HYBEの株価は22日、有価証券市場で前取引日より7.81%下落した21万2500ウォンで取引を終えた。19日の終値基準で9兆6008億ウォンだった時価総額が8兆8511億ウォンに減少した。1日で約7500億ウォンが消えた計算になる。
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