韓国代表「キムチ」、世界の食卓ターゲット
韓流が各国に拡散する。新型コロナウイルスのパンデミックを受け、健康への関心が高まるー-。この風に乗っているのが、韓国を代表する伝統発酵食品「キムチ」。その輸出額は日を追うごとに伸び、キムチの地位も高まりつつある。
◇宗家キムチの急成長
韓国関税庁の輸出入統計によると、韓国のキムチ輸出額は2016年には7900万ドル(約108億円)だった。それが5年後の2021年には1億5990万ドル(約219億円)となり、倍近くになった。輸出対象国も2011年の61カ国から、2021年には89カ国に拡大している。
こうしたキムチ輸出成長をけん引しているのが、韓国の総合食品メーカー「大象(テサン)」の「宗家(チョンガ)キムチ」といわれる。
その輸出額は2016年に2900万ドル(約40億円)だったのが、2020年には5900万ドル(約81億円)と2倍以上に跳ね上がり、昨年は6700万ドル(約92億円)の過去最高を記録した。昨年の韓国のキムチ輸出総額に占める宗家キムチの割合は42%に達する。
◇米欧で料理大会
大象は宗家キムチを「韓国の国民キムチ」とブランディングして、グローバル展開を試みている。
キムチの優れた点を世界に知らせるため、世界キムチ研究所などと組み、昨年1月18日付の米紙ニューヨーク・タイムズにはキムチの広告を掲載、ユーチューブにはキムチに関するドキュメンタリー「キムチユニバース」を計3編制作し、韓国語版と英語版で同時にアップロードした。
米欧を中心に、グローバルなキムチ料理大会も開催している。
2019年11月には世界3大料理学校の一つ、米国の「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)」とともに、「米国宗家キムチ料理大会」を、2020年1月には料理教育機関であるフランス「ル・コルドン・ブルー(Le Cordon Bleu)」本校とともに、パリで「欧州宗家キムチ料理大会」を、それぞれ開催している。
◇現地生産も活発化
大象が宗家キムチを展開しているのは、日本や台湾・香港、米欧など約40カ国・地域だ。宗家キムチの8~9割が、その土地に住む韓国人ではなく、現地の人々によって消費されるほど、その人気が次第に高まっている。米欧でも、キムチを買い求める地元の住民が増え、この勢いはアフリカや南米にも達しているという。
現地生産も活発化している。
今年初めには、米ロサンゼルス近くに敷地面積1万平方メートル規模のキムチ工場が完工した。米国に大規模なキムチ生産設備を備えた韓国食品企業は大象だけだ。
欧州でも工場設立の作業に着手した。約150億ウォン(約16億円)を投入し、ポーランド南部のクラクフに敷地面積6613平方メートルのキムチ工場を建設する。2023年着工、2024年下半期の竣工を目指し、2030年までに年間3000トン以上のキムチを生産する考えだ。
大象のイム・ジョンベ代表は「K-フードの代表であるキムチが、韓国を越えて世界で関心を持たれている。キムチの優れた点を世界に知らせるため、宗家キムチは先頭に立ちたい。韓国のキムチが世界の人々の食卓で、よりいっそう親しまれるために、多様な形でグローバル展開をしていきたい」と意気込んでいる。
(つづく)
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