2024 年 11月 25日 (月)
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[KWレポート] 韓国「サービス格差」の闇 (4)

地方選ではギフティコン、使えず

©NEWSIS

韓国ではソウル首都圏に人口の半分以上が集中しています。このため、首都圏では一般化しているサービスでも、地方には行き渡っていないものも少なくありません。この国のサービス格差の現状を取材してみました。(シリーズ4/5)

◇MZ世代「生活の質」の尺度、スターバックス

自身を地方在住者と紹介する女性が、あるSNSコミュニティで、こんな嘆きを書き込んだ。

「誕生日にはスターバックスのギフティコン(giftとiconの合成語=モバイル商品券)をたくさんもらいます。しかし、私が住んでいる地域にスターバックスはありません」

地方に住む若者の中には、こんな不満を訴える人が少なくない。

スターバックスコーヒーはソウルなど大都市の都心地域では、簡単に見つけることができ、建物ごとに入っている印象さえある。だが、地方では車を20~30分走らせて、ようやくたどり着ける。地域におってアクセスの差が大きい。

MZ世代はスターバックスへのアクセスに、より敏感だ。スターバックスが生活水準と密接に関係していると考えるからだ。専門家も、スターバックスが「若い世代のライフスタイルを見極める主要な判断基準」として位置づけられている、とみる。選挙を控えた政治家が、新婚夫婦に「われわれは何をすればいいか」と尋ねると、「公共施設より、スターバックスを持ってきてほしい」という答えが返ってくるほどだ。

地域別スターバックス店舗数©MONEYTODAY

仁荷(インハ)大消費者学科のイ・ウニ教授はこう指摘する。

「若い世代では誰もが、スターバックスという空間が与える洗練さ、便利さに親しもうとする傾向が高い。スターバックスは、今やトレンドを率いるライフスタイルの象徴で、これを享受できるかできないかの差は、若い世代には大きい」

実際、若者がよく利用する「モバイルプレゼント」サービスのうち、最も多くやり取りするアイテムも、スターバックス・モバイルクーポン交換券だ。ネット大手カカオの昨年のモバイルクーポン交換券取引額は約3兆ウォンと推定される。業界では約8000社余りの交換券パートナー社の中で、スターバックスの出来高と取引額が最も多いとみられている。

だが、首都圏や大都市広域圏でなければ、スターバックス引換券のプレゼントをもらっても使うのは簡単ではない。

先月17日現在で韓国に1660カ所あるスターバックスのうち、572カ所がソウルに位置する。京畿道(383店)と仁川(67店)を合わせたソウル首都圏の店舗数は1022店。つまりスターバックス全体の3カ所に1カ所が首都圏にある計算だ。

最も少ないのは全羅南道の25店。このうち10店舗はドライブスルー(DT)店で、都心や住居密集地域よりは大通り沿いに位置している。特にDT店は、地域住民よりは旅行客や観光客などを狙った立地で、ソウル(18店)より郊外(323店)にはるかに多い。

結局、地方に居住する人々が生活圏内で気軽にアクセスできるスターバックスは、さらに制限的にならざるを得ない。

スターバックスが昨年から本格的に展開し始めた配達サービスも、ソウルや仁川、京畿などの首都圏や釜山の一部地域でのみ利用できる。相対的にアクセスが不便な地方では、デリバリーサービスに対する要求が殺到しているが、スターバックス側は今後もサービス地域の拡大は簡単ではないという立場だ。

スターバックス関係者の見解はこうだ。

「店舗数は基本的に流動人口を中心に増やしており、DT店の場合は流動人口がない商圏でも、車両を利用して訪れる需要を創出できるとみて店舗を増やしている。一方、デリバリーサービスはまだサービス初期段階で、首都圏でも一部地域でのみ利用可能な水準なので、当面、サービス地域を拡大する計画はない」

(つづく)

©MONEYTODAY

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