
◇さらに1日後に消えた「偽アカウント」
大したことではないと思いながら、ずっと気になった。別の私がいるなんて。
さらに1日が過ぎ、ようやくインスタグラムから案内が来た。内容を見た。「このアカウントは削除されました。その他の対処方法も確認してみてください」
もう一度名前を検索してみると、詐称アカウントが表示されなくなっていた。削除まで2日かかったが、ほっとした。

◇私の写真を入れて「パートナーを探してください」
詐称アカウントが韓国で社会問題になったのはだいぶ前のことだ。最近は、有名人から一般の人に拡大する傾向にあるという。実際に被害を受けた人たちを取材した。
そのひとり、イェウンさん。偽アカウントは、インスタグラムの投稿からストーリーまでそっくりそのまま広めていた。このアカウントは「同性愛パートナー」を求める内容に変わっていた。
イェウンさんは「詐称アカウントは、あまりにも自然に存在する。私の知人たちは『姉さんが同性愛者なのかとわかり、知らないふりをした』と話すほどでした」と語った。知人の助けで通報した結果、詐称アカウントは削除された。それでもイェウンさんは「悪用されたのではないかと心配した。消された後もすっきりしなかった」という。

もうひとりの被害者、ジンヨンさんは、2018年にフェイスブックを盗用された。ジンヨンさんの写真をプロフィールに載せ、別の名前で活動する偽アカウントが作られた。特定の政治傾向を帯びた投稿を相次いでアップしていた。アカウントは通報後に削除されたという。ジンヨンさんは「芸能人や公人ではなくても、私のように被害に遭うケースは多いのだろう」とみている。

企業アカウントの詐称も多い。「詐称されたアカウントで、顧客の被害が続出しており、頭を痛めている」と話す会社員もいる。企業アカウントを名乗り、▽イベントに当選したと偽って個人情報を盗み取る▽物品購買金額が入金されていないとして現金を奪う▽企業顧客センターと詐称しイメージを傷つける―――などの報告が相次いでいる。
韓国政府も遅ればせながら対策に乗り出した。個人情報保護委員会は10月、主要SNS事業者に対し、詐称アカウントの統制強化などを緊急要請したことを明らかにした。
フェイスブック・インスタグラムなどを運営するメタは毎日、数百万に上る詐称アカウントをブロック、削除している。ただ、モニタリング作業は十分に追いつかないという。アジア太平洋(APAC)のダン・ニアリー地域副社長は最近のメディアブリーフィングで「詐称アカウントに対応するための新たな技術開発を続けている」と語っている。
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