2024 年 5月 8日 (水)
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[KWレポート] 危機の韓国・警察大学 (3)

兵役恩恵や学費支援

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韓国で政権交代のたびに、警察大学のあり方が問う声が持ち上がります。いったい、どこに、どのような問題があるのでしょうか。MONEYTODAY記者が掘り下げました。(シリーズ3/5)

韓国で警察大が開校して40年以上がたつ。

変化した現実を勘案しなければならないという指摘も出ている。

建国大警察学科のイ・ウンヒョク教授は「警察学校開校当時、大多数の警察官が高卒であり、大学進学率自体が低かった。最近はほとんどの巡警合格者が4年制大学出身者だ」と指摘する。

公務員ブームが起きた後、警察組織には相当期間、数十倍の競争率を勝ち抜いて巡警として入職した人材があふれている。ソウルのある地区隊に勤めるC警長(巡査長に相当)は「能力のある同期も多いが、全員が警衛(警部補に相当)から始まる警察大出身者と、巡警から始まる人が得ることができる情報と人的ネットワークは、異なるものだ」と話した。

この間、兵役恩恵や学費支援のようなものも「警察大不公平」の一要因として言及された。

2019年までは警察大生の教育費用全額を国が支援し、軍役も警察機動隊勤務に回された。半面、2020年までは、巡警や警察幹部候補生になろうと警察公務員試験を受けるには、兵役済みか免除された場合にのみ可能だった。

◇「公正は『機会の平等』」

警察組織そのものを改善すべきだという主張も出ている。

警察庁によると、2020年末現在、警監(警部に相当)以上の幹部は警察全体の10%に過ぎない。ピラミッド型階級構造をつぼ型に改善しなければならないという指摘もある。

建国大警察学科のイ・ウンヒョク教授は「警察組織の構造を見れば、総警(警視正に相当)級以上から大幅に減る。ピラミッドよりは尖ったエッフェル塔に近い。中間階級を増やしてつぼ型にし、人事停滞を解決しなければならない」と指摘する。

「公正は『機会の平等』だ。警察大は誰でも入れるところだ。陸軍士官学校と空軍士官学校は放っておいて、なぜ警察大だけが不公平だと言うのか」(警察大出身のA警監)

「公務員も(下から)9級、7級、5級に分けて採用するが、警察大で4年も勉強した後に入職級数を高く始めるということが『不公平』の根拠にはなりえないと考える。警察を押さえつけようとする意図から出た主張だ」(警察大出身のB警衛)

◇「エリート警察幹部」養成

イ・サンミン行政安全相が「不公平」を理由に警察大の改革を示唆すると、警察大出身者たちの批判が沸き起こった。

専門人材養成という設立趣旨は、軍士官学校とあまり変わらないが、特に警察大だけを「不公平」の枠に閉じ込めることが正しくないという意見だ。

警察大は「エリート警察幹部」養成のために1981年に設立された特殊大学だ。

現在、法律学科と行政学科の2つの専攻に毎年25人ずつ、計50人の新入生を選抜する。

人気は相変わらずで、昨年の入試競争率は92.4倍に達した。

入学生は警察幹部教育課程に特化した警察学、犯罪学、捜査学、刑事訴訟法などを主に学ぶ。警察大卒業と同時に6級相当の警察公務員である警衛(警部補に相当)に任用される。

イ・サンミン氏は、まさにこのような警察大出身者の入職経路を「不公平」の理由として挙げた。

9級の巡警として出発する人と比べ、入職後、高位職に昇任する速度が過度に速いという点が問題だと指摘した。

◇陸・海・空軍士官学校の場合

現在、卒業と同時に公務員任用の恩恵を与えているのは警察大だけではない。陸・海・空軍士官学校の卒業者全員も公務員7級に準ずる少尉に任官される。

一般4年制大学でも初級将校としてすぐ任用される場合もある。

軍と契約を結んだ▽高麗大サイバー国防学科▽世宗大国防システム工学科▽亜洲大国防デジタル融合学科▽漢陽大国防情報工学科――などの特定学科卒業生は、卒業後すぐ少尉として義務服務する。

過去、憲法裁判所は警察大の特殊目的性を認めた。

憲法裁判所は2001年、税務大廃止法案に対する違憲訴訟で「警察大は税務大とは異なり、一般大学の他の学科によって取って代わることのできないない性格の特殊大学だ」と説明した。

それよりもむしろ、公務員試験などの国家考試出身の公務員より、検事・裁判官などがさらに高い職級からスタートすることを問題視する指摘もなされている。

◇「警察大廃止議論は時期尚早」

弁護士試験に合格して任用された初任平検事・判事は、3~4級公務員に相応する待遇を受ける。

一律的に警察官を巡警からスタートさせる場合、優秀な人材発掘に時間と費用がさらに多くかかるという指摘もある。

一線の警察署の捜査課長である警察大出身者のC警正は「検事と共に働く捜査官が、検事の級数に一生ついていけないのは不公平だという意見が提起されたことはなかった」とし「私たちが4年間、警察大内で学んだ捜査手法や法的専門性は認めないのか」と話した。

専門家も「警察大の廃止に近いような、過度な改革は、まだ時期尚早だろう。警察大の存在目的は依然としてある」と主張した。

大邱カトリック大のパク・チャンゴル教授は「専門性が必要な職種の場合、人材流入と入職経路の多様性を常に開いておかなければならない。大学に入る時から警察官としての専門性を持たせるという警察大の『特殊目的契約』自体だけでもその存在目的がある」と話した。

警察大がエリート警察官育成という面で寄与したことが明らかだ。だから警察大廃止議論は時期尚早だ――パク・チャンゴル教授はこう指摘したうえで「むしろ警察内部での不公平を最小化する方法を議論する方に改革が向かっていかなければならない」と話した。

(つづく)

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