2024 年 5月 16日 (木)
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[KWレポート] 仮想人間が押し寄せてくる(5)

スタートアップに数百億ウォンの大金

KB国民銀行にある「AI体験ゾーン」(KB金融提供)

広告モデルやアナウンサー、銀行員、アイドル――。「人間固有の領域」と思われていた分野で、人工知能(AI)技術により誕生した仮想人間が縦横無尽に活動しています。「彼ら」が切り開こうとしている世界にどのような未来が広がっているのか考えてみます。(シリーズ5/計8回)

世界で最も有名な仮想人間「リル・ミケーラ」を開発した米ブラッド(Brud)が2021年9月、カナダのブロックチェーン開発企業ダッパーラボ(Dapper Labs)に売却された。設立わずか5年。売却価格は公開されなかったが、数千億ウォン(数百億円)に達するものと業界は見ている。米ブラッドは、仮想人間という事業モデルで価値を認められ、大成功を収めた最初の事例だ。

世界的に仮想人間市場が大きくなり、関連するスタートアップ(独自のアイデアで新たな価値を生み出す企業)が注目を集めている。韓国国内でも仮想人間スタートアップに数百億ウォンの大金が集まるなど「第2のブラッド」探しが過熱している。非対面産業の成長とデジタル転換の加速化で、仮想人間市場は成長の可能性は高いというのが専門家の判断だ。

関連業界によると、人工知能(AI)専門企業ディープブレインAI(Deepbrain AI)は最近、500億ウォン(約48億円)規模のシリーズB(商品化が本格的に進められる段階を意味する)の投資誘致に成功した。2016年7月に設立されたディープブレインAIは、ディープラーニング(音声認識や画像識別など人間の働きをコンピューターに学習させること)を基盤とした映像・音声合成技術を活用し、「対話型AIヒューマン」を開発するスタートアップである。2019年初めにムン・ジェイン(文在寅)韓国大統領をAIで合成して披露した。米国、中国に続いて3番目に「対話型AIヒューマン」の商用化に成功した。

現在、韓国のMBN放送やKB国民銀行などに対話型AIヒューマンを供給している。2021年8月には中国の放送局ともAIアナウンサーを制作・供給する契約も結んでいる。ディープブレインAIのチャン・セヨン代表は「仮想人間は今後、メタバース(巨大仮想現実空間)、映画、アニメーションなど、活用できる分野が限りなく広がる。グローバル投資企業は、全世界の関連企業に対してモニタリングを続けている」と話している。

(つづく)

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