3期目への挑戦、終身政権への道
中国から規制のニュースが絶えず聞こえ、いずれも過激で、対象も多様です。しかし、よく見ると、方向はひとつのようです。14億人の中国はどんな青写真を描いているのでしょうか。(最終回)
「共同富裕」は政治的スローガンとしても遜色がない。富の分配で大衆の人気を享受できるうえ、伝統的な社会主義への回帰を通じて自らを毛沢東レベルに押し上げることができるからだ。
中国内外では、来年10月に予定されている中国共産党第20回党大会で習近平総書記(国家主席)が3期目に乗り出す可能性が高いと見ている。習氏はすでに政権2期目の2018年、国家主席の任期を「2期10年」までとする憲法の規定を撤廃し、終身政権への道を開いた。「共同富裕」は「人民の支持」という名分まで得る機会になり得る。
中国の専門家は「共同の繁栄を追求するのはマルクス主義の核心」と指摘したうえ「共同富裕は中国共産党の使命と社会主義の根本的な要求を反映したもの」と述べた。
中国共産党の「赤い規制」爆弾が最近、エンターテインメント産業にも殺到し、人気の芸能人と関連した「ファンダム文化」(熱心なファンたちが形づくる文化)が激変期を迎えている。情報技術(IT)、教育、ゲーム産業などに照準を合わせてきた規制の矛先が、芸能界に向けられた理由は何か。
米CNNテレビは「中国共産党はなぜ人気の芸能人とファンを抑圧するのか」という記事を出し、中国当局のエンターテインメント産業規制を毛沢東時代の「文化大革命」と比較し、「習近平政権が過去の『文化大革命』の時のように、大衆文化の検閲によって若者の社会主義理念からの離脱を取り締まろうとしている」と判断した。
中国共産党は理念的観点から、人気の芸能人が、愛国心や党に対する忠誠心を強調する役割のモデルになることを望み、これを強要する。2019年の香港での民主化デモ当時、中華圏の人気俳優や歌手、インフルエンサーらが、国際社会の批判にも関わらず、民主化デモ隊を弾圧する香港警察を支持し、民主化運動を応援する西側ブランドの不買運動に参加したのも、このためだ。
ところが最近、芸能人の豪華な生活とこれを切望するファンダム文化が、「共同富裕」の政治的スローガンに妨げになっているという指摘が出ており、このため当局の規制が芸能界に向いているというのがCNNの解説だ。
(おわり)
「中国の“赤い規制”…習近平主席の青写真は何か」はMONEY TODAYのキム・ジサン、チョン・ヘインの両記者が取材しました。