2024 年 5月 11日 (土)
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[KWレポート] 中国で「K-ビューティー」は生き残れるのか (6)

「C-」のグローバル成長を支援

完美日記(ホームページより)©MONEY TODAY

世界最大の化粧品激戦地・中国。これまで優勢だった韓国産を、急成長する中国産が脅かしています。「韓流禁止令」や新型コロナウイルスの感染拡大、共同富裕――激変する中国市場で、「K-ビューティー」はどう「C-ビューティー」と競い合うべきか、その生き残り戦略を検証しました。(最終回)

◇「百雀羚、完美日記をご存知ですか?」

中国化粧品市場の高成長の中で、C-ビューティー企業は強烈な存在感を示し始めた。リーズナブルな価格、オーガニックなイメージ、伝統中医学を活用した製品力などを前面に出し、中低価格中心の大衆市場攻略を通じてだ。コスマックス、韓国コルマなどK-ビューティー化粧品製造、開発、生産(ODM)企業はC-ビューティーと手を取り、中国化粧品市場の成長促進に乗り出している。

業界とアイメディアリサーチなどへの取材(2021年10月)によると、中国の化粧品市場は世界2位に選ばれ、毎年急成長を見せている。2020年の中国化粧品市場規模は3958億元で、2021年は前年比20.79%成長した4781億元と予想される。2023年までに5125億元規のに成長が見込まれ、今後も大幅な成長傾向が続くと予想される。

このような高成長の傾向は経済発達でルックス管理に関心が高まり、男性化粧品の人気が高まり、SNSの拡散で西洋式化粧トレンドが流入して化粧品の売上が上昇したことによる。

C-ビューティーの最も代表的なブランドとしては、基礎化粧品中心の百雀羚、メイクアップ用化粧品を販売する「完美日記」だ。

1931年に設立された百雀羚は、漢方に基づき植物性ハーブで作った化粧品で消費者を攻略して成功した。当時、百雀羚が発売したワセリン製剤の冬保湿用クリームは高い人気を得たが、その後は「老朽化したブランド」というイメージがついて目立った成果を示さなかった。

しかし、2010年に電子商取引の拡大初期に、百雀羚は、オンライン流通に参入し、若い消費層の購買意欲を刺激した。京東ドットコムと初期の段階から協力し、オンラインを主要流通チャネルにしてメディアマーケティングに積極的に投資した。

百雀羚の商品©MONEY TODAY

新聞やショッピングモールなど、あらゆる場所に広告を掲載し、中国・湖南衛星テレビ「快楽女性」「快楽大本営」など、中国の人気番組に投資、後援、広告などを展開した。

また、周杰倫、莫文蔚、李冰冰、王一博など中華圏トップスターをモデルに次々に起用した。愛国心の強いMZ世代が消費の主役として浮上し、歴史が古い中国国産ブランドという点もMZ世代に刺さった。

百雀羚グループは、2017年基準の全売上高は前年比28%増加した177億元を記録した。このうち90%は百雀羚の自社ブランド製品の売上から始まった。

百雀羚は英ブランドコンサルティング会社「ブランドファイナンス」が挙げた「世界で最も価値のある化粧品50ブランド」に中国ブランドで唯一、2020年に20位以内に名前を上げた。2021年は順位をさらに上げて15位以内に入った。

基礎化粧品分野で百雀羚が名を馳せる一方、メイクアップ化粧品では「完美日記」が急成長した。

「完美日記」の商品©MONEY TODAY

2017年に設立された完美日記は、製品発売から2年で中国の色調化粧品市場のダークホースとして注目された。SNS上で西洋式の化粧が流行し、メイクアップ用品が人気を集めたうえ、完美日記がMZ世代に合ったマーケティング戦略を使ったからだ。

インフルエンサーが化粧法などを説明して広報すると、直ちに新製品を発売し、低価格で簡単に購入できるようにした。また、メイクアップに慣れていない中国の消費者のためにオフライン店舗を相次いでオープンした。完美日記は、2019年11月11日の「独身の日」セールの時、アリババ傘下のオンラインショッピングモール「天猫」の化粧品部門で、中国ブランドでは初めて売上1位を記録した。

完美日記の成長傾向に支えられ、親会社の「逸仙ホールディングス」は2019年に売上35億元を記録した。2018年の総売上高770万元の453倍もの水準だ。このような急成長に伴い、逸仙は2020年11月19日、米ニューヨーク証券市場に上場した。

立地が拡大し、逸仙は「リトル・オンディーヌ(Little Ondine)」「アビス・チョイス(Abby’s Choice)」「ピンクベア」(Pink Bear)など、新規ブランドを立ち上げ、仏プレミアムビューティーブランドの「ガレニーク(GALENIC)」、英高級スキンケアブランドの「イブロム(EVE LOM)」まで買収した。

C-ビューティーが拡大するなかで、韓国の化粧品製造・開発「コスマックス(COSMAX)」「コルマー(KOLMAR)」など、K-ビューティー関連企業の中国での高成長も目に見えるようになってきた。

コスマックスは2020年、逸仙ホールディングスとジョイントベンチャー「逸仙生物科技」を設立したのに続き、化粧品生産工場を設立することにした。中国広東省広州市従化区の工場は2022年末に完工する。年間生産能力(CAPA)は約4億個に達し、完工時に逸仙傘下のブランド全製品を受注生産する。コスマックスは完美日記をはじめ百雀羚はもちろん主要C-ビューティーブランドに製品を納品している。

コルマーはまた、「百雀羚」「花西子」「珀莱雅(PROYA)」など、中国のメジャーブランド会社を含め、約200社以上のC-ビューティー企業と取引している。コルマーの中国法人「無錫コルマ」の場合、2021年から美白化粧品の許可完了製品が増え、売上高の30%以上を紫外線遮断製品が占めた。C-ビューティー人気の紫外線遮断剤の多くをコルマーが製造しているわけだ。

K-ビューティー業界は、急成長を遂げている中国市場で、C-ビューティーのグローバル成長を積極的に支援する計画だ。コスマックスのイ・ビョンマン代表はこう抱負を語る。「これまでコスマックスは海外で現地ブランド成長というローカル化戦略を進めてきた。中国では逸仙とともに成長を実現していく」

(おわり)

「中国で『K-ビューティー』は生き残れるのか」はMONEY TODAYのオ・ジョンウン、キム・チサン、イ・ジェウンの各記者が取材しました。

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