2024 年 5月 6日 (月)
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[KWレポート] ネット銀行「5歳」革新と苦難 (3)

従来の産業構造に挑戦状

創業5年を迎えてイベント実施を告知するKバンク©news1

韓国にインターネット専業銀行が設立されてちょうど5年。発足当時、「期待半分、憂慮半分」といわれたネット銀行はその後、金融市場をどう変えたのでしょうか。(シリーズ3/6)

ネット専業銀行は産業構造そのものにも影響を与えている。受信と信用貸し出しで非対面化を加速化し、非対面営業の範囲を広げる試みを続けているのだ。

◇住宅ローン

代表的な例が住宅ローンだ。

住宅担保融資は、非対面への転換が難しい融資とされる。まず、信用融資と違って必要な書類が複雑で、所有権移転登記は対面によって進める必要がある。マンション以外の住宅に対しては、現場での実態調査と価格の算定が必要だ。

この住宅担保融資の非対面化に、真っ先に挑戦したのは、Kバンクだ。

2020年に銀行界で初めて、Kバンクは非対面でのマンション担保融資を始めた。電子償還委任状を導入し、提出が必要な書類を10種類から2種類に簡素化した。また貸し出しが2日以内に実行されるようスピード化を図った。

カカオバンクの住宅担保融資開始は今年2月だ。貸し出しに使っているのは「チャットボット」だが、現在まで顧客の94.5%は追加の調査を受けていない。所有権移転登記は対面としているが、今後一戸建て住宅などに対する相場評価は、外部業者との提携を通じて解決する計画だ。

◇信用評価モデル競争

信用評価モデルの高度化競争も活発化する。

ネット銀行はプラットフォーム競争力に基づき、多様な非金融情報を活用する代案評価モデルを続々と作り出した。

トスバンクはタクシー決済やショッピングの内訳などを活用し、取引時間いっぱいまで信用評価に利用する。個人事業者向け融資における非金融情報の活用率は40%に上る。

銀行関係者はこう危機感を募らせる。「ネット銀行は高度化する速度が非常に速い。既存の銀行は活用できるデータに限界があり、まずはフィンテックとの提携を拡大している」

ただ、銀行界には、これからが本番だという見方がある。

インターネット銀行が本格的に貸し出し営業を拡大したものの、依然として進出分野は狭い。

住宅担保融資の場合、カカオバンクが最近「相場9億ウォン未満のアパート」という制限を解除したが、依然として申請できるのは、首都圏所在のマンションに対する融資のみ。企業向け融資部門にはトスバンクだけが進出した。それも信用評価に基づいた個人事業者向け融資で、家計向け融資の性格が濃い。

担保評価・現場点検に加え、「別途営業」まで必要な中小企業・大手貸し出し分野にネット銀行が進出するには時間が必要――各銀行はこうみる。

ある都市銀行の関係者はこう解説する。

「個人事業者向け融資は、実は家計向け融資に近い。優良企業に対する銀行の融資審査手法は、数十年の現場経験が溶け込んでいる。企業向け融資は特に営業が重要だ。ただ、その営業基盤が各ネット銀行にはない」

◇どうなる中・低信用者向け

中・低信用者向け融資も期待に届いていない。

カカオバンク、Kバンク、トスバンクの中・低信用者向け融資の割合は昨年末で、それぞれ17%、16.6%、23.9%だ。それぞれの目標値20.8%、21.5%、34.9%に到達していない。2022年にネット銀行3行が提示した目標はそれぞれ25%、25%、42%という高い数字。各行が2022年の最優先課題を「中・低信用者向け融資の拡大」と決め、攻撃的に営業に乗り出した理由だ。

一方で、中・低信用者向け融資の拡大は、健全性に問題を起こしかねない。

あるネット銀行の関係者はこうささやく。「不良債権化する恐れがあるのだ。充当金をさらに積み上げるなど、注意深く調べている」

(つづく)

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