「これ以上捨てるものはない」金になる水産副産物
4次産業革命に合わせ、主要先進国は既に海洋でも新たな技術の開発に乗り出しています。「2022オーシャンテックコリア」(今月9日開催)に合わせ、韓国の政策と世界の主要技術の流れを調べてみました。(シリーズ3/6)
◇アイスランド「水産物100%活用」
韓国の1人当たりの年間水産物の消費量は2015年、58.4キログラムで世界主要国の中で1位だった。2017年には72.9キログラム、2019年には70.2キログラムになるなど、2017年からは70キログラムを超えた。2020年には68.4キログラム、2021年も65.6キログラムと最近2年間は多少減ったが、2020年以降も65キログラム以上を維持している。
このように多く消費される水産物だが、付随的に発生する骨、ひれ、内臓、皮などの水産副産物はそのまま捨てられている。
水産副産物についての定義と分類は、国ごとに水産物の消費パターンが異なり、少しずつ異なる。概して水産物加工品製造過程で主に活用される部位以外に付随的に発生するものを意味するが、国内では水産物の生産・加工・流通・販売などの過程で基本生産物の他に付随的に発生する骨、ひれ、内臓、皮など」と定義する。
国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の水産副産物の発生量は水産物生産量の約35%に当たるレベルと報告される。このように大量に発生する水産副産物は環境的にも経済的にも否定的な影響を及ぼしかねないため、水産副産物の処理と活用が課題になっている。
水産副産物の活用は技術的な限界と廃棄物として扱われる水産副産物に対する消費者の否定的な認識などのような、さまざまな制約要因が存在する。このため、各国の水産副産物に対する関心や政策、活用技術・体系によって水産副産物の活用にも差があらわれる。
バングラデシュの場合、水産副産物発生量9万3000トンの0.9%水準に当たる約900トンだけが使われているが、アイスランドは「水産物100%活用」を目標にした水産副産物活用体系を構築している。
◇水産副産物の活用
水産先進国は水産副産物の活用を、環境問題改善という次元を越えて高付加価値を創出する重要資源と認識し、経済的利益を創出するための研究・開発に乗り出している。
米国は過去からカキ貝殻を利用して道路建設材や家畜飼料の原料として利用しており、最近は漁場造成用資材としても使用する。日本は水産副産物を魚粉や魚油、魚醤などの食品原料として使用しており、水産物の特殊成分であるDHA、EPA、硫酸コンドロイチン及びコラーゲンなどを抽出し、高付加価値化を図っている。
企業レベルで水産副産物を活用して開発した製品化事例もある。
米国の「グッドフィッシュ(Good Fish)」は鮭の皮を活用したスナックを開発した。Good Fishの設立者は、年間20億ポンドの副産物が発生するアラスカサーモンの副産物問題を解決するための代案として、消費者の健康食に対する需要を考慮し、サーモンの皮を利用した製品化に成功した。鮭の皮スナックは、炭水化物が「0グラム」だが、たんぱく質7グラム、海洋コラーゲン2600ミリグラム、オメガ3脂肪酸800ミリグラムを含む健康スナックとして浮上している。
ベトナムのVNFはエビの副産物を活用して様々な製品を発売している。世界最大のエビ副産物加工能力を備えた企業であるVNFは、ベトナムで発生する1日1000トンほどのエビ副産物が地域環境と社会に悪影響を及ぼしている問題を解決するために、エビ副産物を加工し、多様な付加価値食品として開発・販売している。主要製品としてエビ粉、エビソース、エビオイル、エビ調味料、エビ濃縮液などがある。
同時に、エコ製品に対する消費者の関心と需要が高まっており、水産副産物の処理と活用問題はさらに重要視され、関連市場の規模も次第に拡大するものと予想される。
水産副産物の高付加価値活用が可能な主要産業群の一つである海洋バイオ産業の世界の市場規模は2017年の約44億9000万ドルから、2030年には約80億5000万ドルレベルと、約2倍程度成長すると予想している。
持続可能性を強調する国際社会の動向とウェルビーイングやエコに対する消費者需要の増加、科学技術の発展などを考慮すれば、水産副産物活用の必要性とその価値はさらに増大するものと予想されている。
(つづく)
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