2024 年 12月 27日 (金)
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[KWレポート] 「メタバースの宇宙」狙うカカオユニバース (2)

「誰でも簡単に」…「カラーバス」

©news1

韓国のネット大手カカオがこのほど、「ビヨンドコリア(Beyond Korea)」「ビヨンドモバイル(Beyond Mobile)」を掲げて、拡張性を重視したメタバースサービス「カカオユニバース(Kakao UNIVERSE)」を公開しました。カカオはどんなデジタル空間を目指しているのでしょうか。(最終回)

韓国ネット大手のカカオは、記者懇談会にあわせ、オープン型メタバースプラットフォーム「カラーバス」を初めて公開した。

ここにはカカオ子会社「ネプチューン(neptune)」が導入予定の3D仮想空間技術が使われている。モバイルとオンラインを行き来し、誰でも簡単に入って、楽しんで、創造できる――そんなメタバース空間を目指している。

ネプチューンのチョン・ウク代表は「カラーバスでは、利用者の好みに合ったグラフィックでメタバースの世界を実現できる。基本的に利用者にサービス機能とともにビルダー(制作ツール)を提供する」と話している。

サービス機能は3D空間で、ビルダーは「カラーバス」内で、それぞれ自らコンテンツを作ることができる。誰でも手軽に美しく作ることのできるビルダーを目標にしているという。

チョン・ウク代表は「カラーバスが提供する“ハードルの低い”製作ツールにより、クリエイターが集団知を通じて、リアルタイムで、素敵な空間を作ってほしい」と期待を寄せている。

カラーバスでは、ユーザーは同じ「関心事」のもとに集まり、交流し合い、コミュニティを形成することになる。

例えば、興味のあるウェブトゥーンやウェブ小説などのデジタルコンテンツを、カラーバス内で他のユーザーと一緒に楽しむことができる、ということだ。

また、ビルダーによって作られたアイテムのすべては、マーケットプレイスでの取引が可能だ。クリエイターが作ったアイテムは売ることもでき、ユーザーは再加工してそれを再取引きすることもできる。「経済循環が活発化する」(チョン・ウク代表)という展望がある。

◇マルチ・ペルソナ表現

また、カカオブレインは、テキスト中心のカカオサービスを超えて、人工知能(AI)モデルなどベースにしたサービスを提供し、カカオユニバースの完成度を高める方針だ。

「相互作用型(Interactive)AI」という技術がある。

顔の動きをリアルタイムで追跡する「フェイス・リターゲティング(face retargeting)」▽別の個人を実現する「ニューラル・レンダリング(neural rendering)」――の二つを活用して、誰でも簡単に、自分だけのキャラクターを作り、マルチ・ペルソナを表現する手助けをする。

こうした技術により、写真1枚で多様な形態の3Dキャラクターが自動で生成され、マルチ・ペルソナを表現できる。オープンチャットやビデオ通話で、“非・知り合い”の役割を果たすなど、一味違ったコミュニケーションが可能となる。

「対話型(Conversational)AI」は、バーチャルヒューマン(仮想人間)コンテンツをベースに、友達のように会話できる機能だ。人気ウェブトゥーンをデータ化し、主人公の性格や価値観、話し方、ニュアンスを持つAIを作り、ウェブトゥーンについて対話する形式だ。

カカオブレインが準備中の機能は、今後、カカオサービスに適用される。

オンライン記者懇談会で発表するカカオ関係者(カカオ提供)©news1

◇ユーザー間の経済活動を支援

カカオユニバースの特徴の一つは、ユーザー間の経済活動を支援する「B2C2C(企業間取引と個人間取引を結合させる)収益構造」を構築することだ。カカオユーザーを誘引し、サービスを活性化する意図がある。

まず、オープンリンクの基礎となるオープンチャットルームで、モデレーター(進行役)が購読モデルを使って情報提供に対する収益を算出する。カカオが運営するブログサービス「ブランチ」に投稿する作家も、コンテンツで収益を得ることができるようになる。

これに関連し、カカオリンク幹部は「まずオープンチャットの運営者を中心に有料化を考えている。こうした人たちは事実上“準セレブ”になれる人たちだ。彼らが作るコンテンツや情報に対して、どのように収益を分配する形態にすべきか悩んでいる」と話している。

SNSなどを通じて個人で情報を発信する「1人メディア」や、メディアスタートアップなど専門コンテンツ生産者のために、多くの機能が一つにまとめられたコンテンツプラットフォーム(CMS=Contents Management System)も提供する。これを使えば、多様なフォーマットのコンテンツを便利に生産でき、広告やスポンサー、コマースなどビジネスツールを活用して収益化も可能となる。

こうして「B2C2C収益構造」が形成されれば、創作者は“スーパーファン”を作るために有益なコンテンツを制作する▽ユーザーは創作者の発掘した興味深いコンテンツの持続的な提供を受ける――という好循環構造が作られると予想される。

◇「50億人のグローバルユーザー」

メタバースプラットフォームであるカラーバスもまた、取引が活発化するための支援に重点を置く。

ビルダーを通じて作られたすべてのアイテムは、マーケットプレイスで取引が可能という。クリエイターが作ったアイテムを売ることもでき、ユーザーは再加工してそれを取引することもできる。チョン・ウク代表は「経済循環が活発になるだろう」と説明している。

カラーバスにユーザーが流入し続ければ、コミュニティは徐々に成長する。ウェブ3.0「DAO(ダオ)」の導入でカラーバス内の経済収益構造はより活性化され、真のオープンメタバースになる、と見通す。

ナムグン代表は「カカオは創業当時から“宇宙通信規約”になると言っていた。多様なサービスをひとつにまとめた結果、宇宙通信契約という長年の夢を成し遂げるべく、世界の1%ではなく、99%、50億人のグローバルユーザーを目標としている」と意気込んでいる。

(おわり)

「『メタバースの宇宙』狙うカカオユニバース」はnews1のチョン・ウンジ、イ・ジョンフの両記者が取材しました。

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