「BTS」5兆ウォン「イカゲーム」「ウ・ヨンウ」1兆ウォン
K-カルチャーが韓国にもたらす経済効果は莫大で、簡単には計れない。単純な売り上げ、または生産誘発効果だけでなく、国家ブランド、さらには認知度向上などによる波及効果まで計算すれば、年間約90兆ウォン(約9兆4220億円)に達するという分析もある。
韓国輸出入銀行が今年5月に発表した報告書「K-コンテンツ輸出の経済効果」によれば、K-コンテンツ輸出1億ドル(約140億円)当たりの消費財輸出を含む生産誘発効果は5億1000万ドル(約715億6320万円)に上るとみられるという。また、K-コンテンツの輸出額が1億ドル増えた場合、消費財の生産やK-コンテンツの生産などを含め、計2982人の就職誘発効果があると推定されている。
2020年のK-コンテンツ輸出額は119億2000万ドル(約1兆6726億円)で、2016年以後年平均18.7%成長した。主力輸出品目と比べると、家電または繊維輸出額より多い。この場合、韓国輸出入銀行の報告書の通り、2020年の輸出額を基準に計算してみると、K-コンテンツに誘発された経済効果は607億9200万ドル(約8兆5303億円)に達するものと推定される。
◇世界的なK-ドラマブームも
このうち、韓国に最も大きな経済効果をもたらしたK-カルチャーのアイコンは、断然BTSだ。現代経済研究院は、BTSが米ビルボードで1位を獲得した2018年の段階で、年平均約4兆1400億ウォン(約4334億円)の生産、1兆4200億ウォン(約1486億円)の付加価値を誘発するなど、BTSの経済的価値は計5兆5000億ウォン(約5757億円)に達すると分析した。
最近はK-POPに劣らず、世界的なK-ドラマブームも到来している。
米ブルームバーグ通信は、ネットフリックスがオリジナルドラマ「イカゲーム」の経済的価値を8億9110万ドル(約1250億円)と推定していると報道した。最近人気を集めたドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の製作会社ASTORYはウ・ヨンウの経済的波及効果を1兆ウォン(約1047億円)以上と見ている。
輸出入銀行海外経済研究所のキム・ウンジ首席研究員は「最近はK-カルチャーの地位がさらに高まった。K-コンテンツ全体の経済的価値を輸出額に応じて計算することもできる」とみる。K-コンテンツの中でK-POPに代表される音楽輸出は、消費財の全分野をけん引する効果が高いとしたうえで「特に化粧品、加工食品がK-コンテンツの輸出けん引効果が高かった」と指摘する。
輸出入銀行がK-コンテンツを分野別に分析した結果、音楽輸出は関連消費財の全体をはじめ化粧品、加工食品、IT(情報技術)機器など、衣類を除いた全品目の輸出増加をもたらしたことが明らかになった。具体的には、音楽輸出が1億ドル(約140億円)増加した時、消費財輸出は21億8600万ドル(約3068億円)、化粧品輸出は2億3900万ドル(約335億円)、加工食品輸出は1億1700万ドル(約164億円)、家電・携帯フォームも18億6400万ドル(約2616億円)増加した。音楽以外では放送輸出が加工食品輸出と関連が深かった。
◇付加価値創出にも
K-コンテンツの成功は、ユーチューブ動画の再生数や検索量など数字で明らかになるような人気だけでなく、関連した韓国製品やサービスの販売増大など、付加的な価値の創出にもつながる。
映画「パラサイト~半地下の家族」に登場したインスタント麺を使った料理「チャパグリ」が海外で人気を集めたのが代表例だ。パリの「イカゲーム体験館」とニューヨーク・マンハッタンで開かれた「イカゲーム」体験イベントに大勢の人が集まったのも似たような脈絡だ。
全南(チョンナム)大新聞放送学科のチュ・ジョンミン教授は次のようにみる。
「K-カルチャーが人気を集め、コンテンツ自体が誘発する効果のほかにも、国家イメージや信頼度向上、韓国語学科の人気なども付随的な経済的効果だ。コンテンツが国家の地位を高め、外国人の韓国商品購買にも影響を与えるため、海外マーケティングや輸出する企業には広報費用を節減する効果もあるだろう」
2030年釜山万国博覧会(EXPO)誘致で、BTSから支援を受けるように、K-カルチャーが直接的に国益に貢献する場合もある。
チュ教授は「K-カルチャーが好きな外国人は文化分野だけでなく政治や外交などさまざまな方面に影響を与える。それゆえ、韓国を訪問して文化体験をしたがるという効果もある。万博誘致には国家の成熟度などを評価する多様な観点があるが、海外のBTSファンが、韓国を高く評価することがエキスポ誘致合戦において非常に大きな力となるだろう」と評価している。
(つづく)
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