2024 年 12月 7日 (土)
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[KWレポート] 韓国メタバース最前線 (9)

触覚も「遠くから」感じる

映画「レディ・プレイヤー1」イメージ©NEWSIS

◇目の前に「ミラーワールド」

貧富の格差が深刻化した2045年――。

貧困地域で暮らす人々は、メタバースで脱出を図ることになる。ヘッドセットをはめてゲーム専用手袋をはめた瞬間、仮想現実(VR)世界の「オアシス」に出会うことになる。オアシス内では何でもでき、現実世界の経済活動とつながって金を稼ぐことも可能だ。

2018年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督のSF映画「レディ・プレイヤー1」は、未来のメタバースの世界としてVRゲームの中で経済活動をする人々の姿を描いている。約4年が過ぎた今も「オアシス」と似た仮想現実サービスを探すのは難しい。

ところが最近VR・拡張現実(AR)、テレハプティック(実際に物体に触れていなくても仮想で質感を得ることができる)などメタバース技術が急速に発展し、このような映画の中の場面が現実になり得る、という期待が高まっている。VR、AR機器は今やパソコン、スマートフォンの後を継ぐ次世代コンピューティングプラットフォームとして浮上している。グローバルビッグテック「メタ」が、VR・AR市場を先取りしようとしたのに続き、グーグル、アップル、サムスン電子などが先を争って技術開発に乗り出し、覇権競争が始まった。

VR・AR機器はもちろん触覚型(ハプティック)技術に対する関心も高まっている。ハプティックは遠隔ユーザー間で現実のように生き生きとした肌触りを共有して伝達する技術だ。今後、メタバース、VR・AR、ディスプレイなどコンテンツ分野で視覚と聴覚を越えた触覚コミュニケーションの核心技術だとみられている。

メタバース技術の商用化で、3Dアバターが中心のメタバースプラットフォームを越え、現実と類似した「ミラーワールド」が実現するか注目されている。ミラーワールドは、現実世界を仮想の世界にありのまま反映して拡張することを指す。現実世界をどのように模写し、現実世界と仮想化されたミラーワールドの連結を、いかに正確で速く同期化できるかがカギだ。

メタクエストプロ(写真=米ブルームバーグ通信)©NEWSIS

◇XR機器に挑戦状…グーグル、サムスンもライバル

最近、メタバース懐疑論が提起され、グローバルな景気の低迷でメタバースに対する関心が冷めた。だが、VR機器の開発は続いており、「メタクエスト2」は年間販売台数1000万台を超え、大衆化することに成功した。

メタが10月11日(現地時間)、開発者向けに毎年開催している「メタコネクト2022」で、次世代XR機器「メタクエストプロ」を披露した。従来の製品より性能を改善し、次世代技術を適用した高級型だ。

「メタクエストプロ」は、異なる場所にいる人々が、まるで同じ場所にいるかのように相互利用できる。着用している人の視線と表情をカメラで感知する機能も追加した。ヘッドセットをつけた状態でも、ある程度、周辺環境を確認できるよう、左右の視野が開けている点も特徴だ。

アップルも来年、XR機器を発売するとみられ、メタの強力なライバルとして浮上している。製品の名前は「リアリティプロ」と言われている。業界ではこの機器が、メタの「クエストプロ」と競争する高級型製品になると見ている。

グーグルは今年5月、ARグラスの映像を公開したことがある。AR技術を基にスマートグラスを着用した人に、他人の言葉や文章をリアルタイムで翻訳し、キャプションで提供するようになっていた。また、2024年の発売を目標に「プロジェクトアイリス」というARヘッドセットを開発中だ。

サムスン電子のVR、AR事業も加速化されると予想される。サムスン電子のハン・ジョンヒ(韓宗熙)副会長は2月、スペインで開催された世界最大の移動通信展示会MWCで「メタバースプラットフォーム機器が最近の話題だ。サムスン電子も準備しているところなので期待してほしい」と明らかにしたことがある。

実際、サムスン電子は今年の株主総会でメタバースを新成長動力産業に挙げた。今年8月にはイ・ジェヨン(李在鎔)会長がサムスンSDSを訪ね、デジタルツインやメタバース市場動向の報告を受け、経営陣と中長期事業戦略を議論したと伝えられた。

(つづく)

(c)NEWSIS

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