2024 年 5月 24日 (金)
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[KWレポート] 尹錫悦政権100日の成績表 (3)

複合危機の勃発「火種から捕まえろ」

韓国のユン・ソンニョル大統領©news1

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が先月17日で就任100日を迎えました。保守系政党「国民の力」入党と党内予備選挙、大統領選挙・就任という「短くて太い」政治経験の中で試行錯誤をしてきました。ユン政権の前途を考えてみました。(シリーズ3/4)

「市場経済体制を基盤に国民が真の主人である国に再建する」「繁栄と豊かさ、経済成長は自由の拡大だ」。今年5月10日、ユン氏は大統領就任の辞でこう述べた。

たユン政権は物価高、高金利、ウォン相場という3高危機の中で発足した。経済成長率の展望値は2%台前半に下がり、物価上昇率も次第に上昇し、1990年代の通貨危機後、最高となる6%台に達した。

新型コロナウイルスの感染拡大で財政余力を使い果たした政府は、短期的には物価を抑制し、中長期的には規制改革、減税などで民間経済を活性化し、危機を克服するという構想だ。

それでも消費・雇用鈍化など景気低迷の憂慮は次第に深まっている。ユン大統領が就任演説で指摘したように、韓国経済はパンデミック、交易秩序の変化とサプライチェーン再編、気候変動、食糧とエネルギー危機など、一国では解決しにくい難題に直面しているためだ。

専門家は「政策基調は正しい」としながらも「まず物価抑制に集中し、民間の革新を誘発するような果敢な政策を施行しなければならない」と助言した。

◇経済複合危機

ユン政権が第一歩を踏み出した今年5月は、世界で3高現象が深刻化していた。ロシアのウクライナ侵攻で国際原油価格が急騰し、米国をはじめとする主要国の金利引き上げで為替レートが急騰。韓国経済への圧力が全方位的に高まったころだ。

だが今も経済状況は依然として容易ならざる状況だ。

特に、物価上昇率は5月の5.4%から7月は6.3%へと上昇傾向がさらに拡大した。当初物価のピークは9~10月と予想されたが、最近の集中豪雨と猛暑など、気象条件により簡単には落ち着かないこともあり得ると懸念されている。秋夕(韓国の旧盆)の連休に伴う需要増大が重なった場合、物価のピークが年末まで続きかねないという見方まである。

物価点検に乗り出したユン大統領©news1

景気も混乱している。現在と未来の景気の流れがわかる統計庁の景気動向・先行指数循環変動値が3~4月にともに下落したのに続き、5月には小幅上昇、6月には先行指数だけが横ばいを示すなど、潮勢は安定していない。

貿易収支は赤字を続けている。8月10日までの貿易収支の赤字は76億7700万ドルとなった。輸出より輸入額がさらに増え、赤字幅を拡大したわけだ。

雇用の鈍化も予想されている。政府は最近、雇用指標が好調さを見せているが、年末から就業者の増加幅が鈍化し、来年の就業者増加が16万人に止まると予想した。

急激な物価高騰に消費も冷え込んだ様子だ。6月の小売販売増加率は前月0.7%から-1.5%に減少転換した。消費者心理指数は▽5月は102.6▽は6月96.4▽7月は86.0――と下落傾向を示している。

韓国開発研究院(KDI)は、最近の経済動向8月号で「韓国経済は消費心理が急激に悪化し、主要国の景気が鈍化し製造業を中心に景気下方要因が拡大している」として「景気下方圧力がさらに強まった」と診断した。

◇「民間重視」の方向性は正しい…「物価対策急務、改革は果敢に」

大多数の専門家は税制緩和と規制改革などで民間経済を活性化するという現政権の方針は正しいと評価した。

成均館大のキム・インチョル名誉教授は「その通りだ。模範回答であるわけだ」と述べた。高麗大経済学科のカン・ソンジン教授も「政策基調は正しいと考える」と話した。

法人税引き下げなど減税政策に対する見方も政府とほぼ同じだ。

カン・マンス元企画財政相は最近、韓国の経済団体「全国経済人連合会(全経連)」の懇談会で「法人税の水準が投資決定の核心的要素であるため、競争国の水準とバランスを取らなければならない」と述べた。政府が法人税引き下げを推進する根拠と同じ文脈だ。ユン・ジュンヒョン前企画財政相も「複合的な危機状況を克服するため、減税などを果敢に推進し、企業の投資と雇用を促進しなければならない」と提言した。

釜山埠頭に積まれたコンテナ©news1

ただ、現在の「複合危機」を打開するためには、まず物価高を緩和することに集中しなければならない、というのが大方の分析だ。「パーフェクトストーム」(超大型複合危機)につながりかねない火種は、ひとまず消せということだ。

カン・ソンジン教授は「直ちに物価を抑えることが急務だ」と指摘。「成長が犠牲になっても『物価上昇→賃金上昇→投資および成長阻害』という悪循環の輪は防がなければならない」と話した。

物価高が持続するという心理が広がり、賃金と物価上昇の悪循環が定着する場合、投資心理が萎縮し、経済成長にも悪影響が及ぶ可能性がある。物価が上がるのに景気は沈滞する「スタグフレーション」がもたらされかねないというわけだ。

経済成長のための改革は、果敢でなければならないとも助言した。カン教授は「需要主導型ではなく供給主導型成長政策を実行しなければならない」として「政府主導投資ではなく民間中心投資、すなわち規制改革を通じて民間の革新的な動力を成長につなげられるよう、果敢な政策を実行しなければならない」とした。

成均館大のキム・インチョル名誉教授は「政府の物価緩和方針自体は正しいが、政策にディテールが足りない」と指摘した。「自分なりの物価目標が必要だ」として「直ちに物価をどれだけ下げなければならないのか、私たちが耐えられる水準を目標に決めなければならない」と提言した。そうすれば物価に対する不安心理をより効果的に安定させることができ、より秩序整然とした金利・通貨政策も可能になるという趣旨だ。

(つづく)

©news1

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