2024 年 7月 27日 (土)
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[KWレポート] 危機の韓国・警察大学 (4)

自分の「出身」が足を引っ張る

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韓国で政権交代のたびに、警察大学のあり方が問う声が持ち上がります。いったい、どこに、どのような問題があるのでしょうか。MONEYTODAY記者が掘り下げました。(シリーズ4/5)

「特定出身」が集団行動をしているように見えるのは非常に適切ではなさそうだ――。

イ・サンミン行政安全相は警察大を「ハナ会」にたとえた。「ハナ会」はパク・チョンヒ(朴正熙)大統領時代に軍内あった私的組織を指す。

警察大出身者は反発している。実際、警察大出身者は、自分の「出身」が足を引っ張る場合もあると話す。

警察庁の資料によると、警察大出身者は警察高位階級の相当数を占めている。

一線の警察署署長級の総警(警視正に相当)級の場合、全632人のうち381人(60.3%)が警察大出身者だ。警務官(警視長に相当)級は80人中59人(73.8%)、治安監(警視監に相当)級は34人中25人(73.5%)だ。治安正監(警視総監などに相当)は7人のうち3人が警察大出身者だ。

◇「昇任で足を引っ張られる」

警察大は2021年までに計37期を輩出した。

警察大は入学定員が多くない。警察大出身の警察官は全体13万2421人のうち3249人、割合ではわずか2.5%に過ぎない。卒業と同時に巡警(巡査に相当)、警長(巡査長に相当)、警査(巡査部長に相当)を飛び越えて警衛(警部補)職に任用される。

任用人員は少ないが、3つの階級を飛び越えることになり、高位職に警察大出身者の割合が高くなるのだ。

しかし、警察大出身者は「むしろそれによって恩恵を受けるどころか、昇任で足を引っ張られる状況が生じている」と打ち明ける。

警察内部では慣行的に入職経路を考慮する昇任「クオーター(持分)」制度がある。出身別に警察大、幹部候補生、告示、一般などに分け、1カ所に集中しないように配分する慣行だ。内部的に総警以上の高位職に昇任させる時、少数の巡査出身者にも案分するための措置でもある。

警備課に勤める警察大卒業生B警正は「昇任審査をする時、いわゆる『入職配慮』をする。この場合、むしろ警察大生同士の競争が深刻化するため、能力があっても昇任できない状況も起きる」と話した。

経済チームに勤める警察大卒業生C警衛(警部補に相当)は「実際、警察大出身が警衛に任用され、以後、高位職に就く速度が速いこともありうる」と明かしている。

一方、行政安全省は毎年、警務官(警視長に相当)昇任者のうち巡警など一般出身者を現行の3.6%から20%まで拡大するために複数職級制を導入し、昇任審査基準を今年10月までに改正する計画だ。

また、警察制度の根本的な改善方策を用意するため、今月中に首相直属の民官合同警察制度発展委員会をスタートさせる。委員会では、6カ月以内に勧告案を発表することを目標に定期・随時会議を開き▽警察大改革▽司法・行政警察区分▽国家警察委員会▽自治警察制の改善――などを議論する予定だ。

警察大廃止に反対する人々は、警察大が優秀な学生を4年間教え、警察の水準を高めてきたと主張する。半面、廃止賛成論者は「特別採用制度」を通じても多様で優秀な専門家を迎え入れることができると反論する。

◇25分野で特別採用

現在の特別採用制度を見てみよう。

警察の採用は「一般公開採用」と「経歴競争採用」に分かれる。このうち経歴競争採用を「特別採用」と呼ぶ。

特別採用の歴史は長い。古くからテコンドー、剣道など武道有段者を採用している。また、行政考試、司法試験、外務考試の卒業者を警正級(一般職公務員5級に該当、日本の警視に相当)に選んだ。

現行法上、警察の特別採用は25の分野で実施される。これには警察庁国家捜査本部長も含まれる。外部人事特別採用規定があるからだ。国家捜査本部長を除けば、一般警察官の特別採用は24の分野になるとみられる。

最も代表的な特別採用は弁護士特別採用だ。警察は司法試験が弁護士試験に代わると同時に、2014年から既存の警正級に採用していた法曹人出身者を一階級下げて警監(警部に相当)級として採用している。2018年は20人の採用に227人余りが志願し、歴代最高競争率(11.35倍)を記録した。22年下半期の採用にも40人の採用に70人が願書を出した。

公認会計士は警衛級(一般職公務員6級、警部補に相当)として採用する。会計士出身の警察官は全国に3人と多くはない。毎年5人ずつ採用するつもりだったが、難しかった。昨年は2人が志願したが、いずれも体力検査に応じず、採用は失敗に終わった。今年は4人が志願した。

その他、サイバー捜査官、映像分析官、現場鑑識官など捜査専門家と外国語専門家、航空操縦士なども毎年特別採用で選ばれる。また、テコンドーと柔道、ボクシング、レスリング、剣道、射撃など武道特別採用も毎年実施される。

警察は、このような特別採用を通じて犯罪手法と捜査技法、法体系に能動的に対応できると評価している。

警察庁関係者は「毎年捜査機能別に必要数を取りまとめて特別採用規模と分野を決めている」と明らかにした。

(つづく)

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