2024 年 6月 16日 (日)
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[KWレポート] 中国の“赤い規制”…習近平主席の青写真は何か(2)

芸能界「浄化」も「共同富裕コード」で解釈

中国の習近平国家主席(中国中央テレビよりキャプチャー)

中国から規制のニュースが絶えず聞こえ、いずれも過激で、対象も多様です。しかし、よく見ると、方向はひとつのようです。14億人の中国はどんな青写真を描いているのでしょうか。(シリーズ2/計4回)

中国の習近平国家主席(中国共産党総書記)の政治スローガン「共同富裕」で、分配は3段階にわたって進められる。

第1段階は一生懸命働いた者にもっと多くの利益を、第2段階は国家が介入して富の偏重を阻止し、第3段階は寄付を誘導する。今年8月17日、習主席が「共同富裕」を叫んだ翌日、テンセントが500億元(約8500億円)の寄付を宣言したのは偶然ではない。

プラットホームを前面に押し立てたビックテックの過度な利益追求、保護者の生活を苦しめる私教育、ゲームで青少年の心身を荒廃させてカネをかき集めるゲーム会社などは「共同富裕」実現の足かせだ。脱税の疑いがもたれた人気俳優、鄭爽さんの罰金計2億9900万元(約51億円)と芸能界の淘汰から始まった芸能界の「浄化」運動も、同様に「共同富裕」コードの中で解釈できる。

言い換えれば、伝家の宝刀のように「共同富裕」を突きつければ、断罪できないことはないという意味でもある。来年秋に開かれる中国共産党の第20回全国代表大会を1年後に控え、習主席が長期執権基盤づくりのための道具だという解釈が出ている理由だ。

中国のソーシャルメディアでは最近の変化について、「1966~1977年の10年間、芸術と文化が政治宣伝を促進するのに利用された文化大革命を連想させる」という声が出ている。文化大革命は、大躍進運動の失敗で政治的基盤が瓦解した毛沢東が資本主義、封建主義、官僚主義の撲滅を旗印に民衆と学生を動員して政敵を撲滅した事件だ。中国の学界では文化大革命で学者や官僚約170万人が死亡したと推定している。

「共同富裕」は新しく出てきたものというわけではない。習主席の過去のメッセージはすべて「共同富裕」というキーワードの拡張版だ。2017年10月に開かれた前回の党大会の開幕式でも、「小康(すべての国民が安らかで豊かな生活を享受する)」や反腐敗闘争が何度も言及された。

小康実現のために腐敗を根絶するという意志の表現だった。これは企業と権力の結託が腐敗につながり、「富益富」「貧益貧」の悪循環を誘発するという認識から始まった。アリババの根拠地である浙江省の前高官らが不正腐敗疑惑の調査を受け、相次いで辞退したのもこれと無関係ではない。

習主席は特に、思想的に毛沢東に大きな影響を受けたという。伝統的な社会主義の観点で共産党に対抗できる権力はない。馬雲アリババ会長の中国共産党に対する“挑発”は体制に対する挑戦であり、撲滅の対象にならざるを得ない。

(つづく)

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