2024 年 12月 26日 (木)
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[KWレポート] カカオペイvsカカオバンク…内戦の結末(1)

「グループ内ではライバル以上」

カカオペイ上場を記念する式典©news1

韓国のモバイル決済アプリ最大手のカカオペイと、インターネット金融のカカオバンク。会話アプリのカカオ(kakao)の「フィンテック兄弟」と呼ばれる両社ですが、株式上場前には激しい神経戦を繰り広げました。その舞台裏に迫りました。(シリーズ1/計4回)

韓国のインターネット大手「カカオ」は、韓国人の9割が日常的に使う会話アプリ「カカオトーク」などを手掛ける。そのカカオが2016年、インターネット専業銀行「カカオバンク」を、翌年にはスマホ決済の「カカオペイ」を相次いで設立し、それぞれ今年8月6日と11月3日に上場した。

「カカオペイとカカオバンクが、グループ内でライバル以上だということは、金融業界では周知の事実だ。カカオバンクが先に上場して先を行く格好だが、カカオペイは、ただ手をこまねいているわけではない」(都市銀行幹部)

カカオペイとカカオバンク――“どちらが究極的な勝者になるか”、さまざまな議論が飛び交っている。

以前、カカオペイをめぐる評価は友好的だった。事業の拡張で「銀行よりも自由」という期待があったためだ。だが、その後の経過を見れば、市場に定着したのはカカオバンク。「金融革新」のイメージも先取りし、カカオペイのプライドは傷つけられた。

実際、カカオ内部ではカカオペイが先に上場する方向で交通整理が進められてきた。だが、マイデータ(スマーフォンによる歩行記録や健康情報など、特定の個人が識別されるかを問わない情報の総称)に関する事業の遅れ、金融監督院の公募価格の訂正要求、大手IT企業の規制強化など、外部での問題が相次いで浮上し、その間、カカオバンクが先手を打った。

◇異なる株主構成…「銀行 VS IT企業」構図の縮小版

両社の上場によって、グループ内でのライバル関係は「時価総額競争」を通じて、さらに鮮明になる――業界はこう分析している。カカオバンクは銀行、カカオペイは金融システム事業と性格が違うが、競争する市場は変わらないためだ。

カカオペイとカカオバンクは、ともにカカオが筆頭株主だが、主要な株主の構成が大きく異なる。

カカオペイではカカオが47.8%、中国・アリババ集団傘下の金融会社「アント・グループ」系「アリペイ・シンガポール・ホールディングス」が39.1%を保有する。

カカオバンクは、筆頭株主のカカオに匹敵する持分を韓国投資金融持株が保有する。このほか韓国最大手・国民銀行、韓国ゲーム大手「ネットマーブル」、韓国科学技術情報通信省直轄の郵政事業本部、世界最大級のオークションサイト「eBay」(イーベイ)、中国のネットサービス大手の「騰訊控股」(テンセント)、韓国を代表するインターネット書店「YES24」などが株主に名を連ねる。

この構成が意味するのは――両社がそれぞれ主要株主の利益によって動くしかない――ということだ。カカオグループ系列では、それぞれ“独立運営”の雰囲気もあるため、両社は協力より競争を強めざるを得ない。

主要な意思決定をするプロセスにおいて、銀行と大手IT企業の対立の縮小版となる可能性が高い。

「内戦」という言葉まで出てきている。

(つづく)

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