2025 年 11月 2日 (日)
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APEC韓国開催、経済・外交両面で成果…「GPU26万枚」支援や関税協議も前進

11月1日、慶州の国際メディアセンター(IMC)で記者会見を開くイ・ジェミョン(李在明)大統領=大統領室提供(c)news1

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が11月1日、慶尚北道慶州で閉幕した。2005年の釜山開催以来20年ぶりに議長国を務めた韓国は「慶州宣言」の採択でアジア太平洋地域を超えた包括的な経済協力の方向性を提示し、外交・経済の両面で一定の成果を上げたと評価されている。

最大の成果は、米国の説得に成功し「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の持続的協力に言及した「慶州宣言」を採択した点だ。APECの三大重点課題である「連結・革新・繁栄」を軸に、貿易・投資、デジタル、包容的成長、AI協力、人口構造の変化対応といった重要分野における各国の共通認識と協力意思が盛り込まれた。

また、文化創造産業をアジア太平洋地域の新たな成長動力として明示し、協力の必要性が初めて共同宣言に明記された。

経済面では、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン最高経営責任者が韓国に対して人工知能(AI)用のGPU(画像処理装置)26万枚を供給することを表明。これにより、韓国のサムスン電子やSKハイニックスと連携して高帯域幅メモリー(HBM)の調達を強化することで合意し、AI強国化への地盤が整った。

APECを機に開かれた米韓首脳会談では、イ・ジェミョン(李在明)大統領とトランプ米大統領が長らく停滞していた関税交渉に合意。韓国側は対米投資総額を維持しつつ、現金投資比率や年間投資上限の調整、資金回収の安全装置を設けることで「善戦」したと評された。

また、原子力推進の潜水艦導入に関する提案に対し、トランプ大統領が公式に承認を表明するという動きもあった。今後、両国は安保と貿易を包括する「共同ファクトシート」の策定を目指して詳細協議に入る。

日韓首脳会談では、新たに就任した高市早苗首相と会談し、未来志向の関係構築とシャトル外交の継続で一致。ただし、歴史問題に関しては具体的な進展がなく、日韓関係の不確定要素として残った。

また、11年ぶりに国賓として訪韓した中国の習近平国家主席との会談では、経済協力やサービス貿易促進に関する7件の覚書(MOU)を締結。両国は高位級の協議チャンネル強化と連絡網の復元で合意し、相互互恵的な協力関係の拡大を確認した。

ただし、韓国が進める原子力潜水艦導入への中国側の反発や、中国による韓流コンテンツの締め出し「限韓令」の明確な解除を引き出せなかった点は、今後の課題として残る。韓国企業ハンファオーシャンへの制裁や黄海構造物を巡る対立に関しても、必要性の共感はあったが具体策の提示には至らなかった。

米中首脳会談も慶州で開かれ、激化していた米中貿易戦争に一時的な「休止符」が打たれた。トランプ大統領は訪韓前に日本を訪問し、新政権との同盟関係強化を確認。一方、高市首相は日中首脳会談で対中けん制を示唆する姿勢を見せた。

日米中3カ国の緊張感が交錯する中、韓国のイ・ジェミョン大統領は日米韓3カ国の連携を軸としつつ、中国との現実的な協力関係を模索する「実用外交」を貫いており、その真価が今後試されることになりそうだ。

イ・ジェミョン大統領は記者会見で「慶州宣言、AIイニシアティブ、人口構造対応フレームワークという3つの文書は、アジア太平洋地域を平和と繁栄の場にしようとする各国首脳の意思が結集した成果だ」と強調した。

(c)news1

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