2025 年 3月 15日 (土)
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尹大統領、釈放後「沈黙」の1週間…憲法裁判所の判断見据え、慎重な対応

ソウル拘置所を出所し、支持者の声援に応える韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(c)news1

韓国の憲法裁判所によるユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾審判の宣告が遅れる中、8日に釈放されたユン大統領は、公の場での発言を一切控えたまま、沈黙を貫いている。当初は積極的な世論戦を展開すると予想されていたが、現在は動きを抑えた慎重な姿勢が続いている。

大統領室関係者は14日、news1の取材に対し、「大統領は読書をしたり公邸の敷地を散策したりしながら、憲法裁判所の審判結果を落ち着いて待つ意向だ。特別なメッセージを出す予定はない」と説明した。

大統領室は政策課題に集中し、慎重な態度を保っている。ユン大統領の拘束取り消し決定や、チェ・ジェヘ監査院長の弾劾案が棄却された件についても、簡潔な立場表明にとどめたという。さらに、チョン・ジンソク大統領秘書室長は、実務を担当する行政官級の職員に対し「不要な発言は控えるように」と指示したとされる。

これは、憲法裁判所の裁判官を刺激しないための戦略とみられている。仮にユン大統領自身が支持層に向けたメッセージを発信したり、不正選挙の主張を展開したりした場合、保守系の裁判官にまで影響を及ぼす恐れがあるとの判断が背景にある。

表立った動きを控えているユン大統領と大統領室に代わり、与党「国民の力」と弁護団が世論戦の先頭に立っている。

与党議員らは憲法裁判所に対し、弾劾審判の棄却を求める嘆願書を提出したほか、同裁判所前で24時間体制の「5人1組リレー抗議活動」を展開している。党指導部は「議員個人の自発的な参加」としているものの、所属議員108人のうち半数以上がこの抗議に加わる見通しだ。

また、ユン大統領側の弁護人であるユン・カプグン弁護士は、記者会見で「チェ監査院長の弾劾案が棄却されたことで、非常戒厳令の正当性が次第に証明されている。大統領の弾劾も速やかに棄却されるべきだ」と主張した。

弁護団は声明を通じ、「弾劾審判の過程で、弾劾工作や内乱扇動を目的とした証拠の捏造や証人の買収行為が明らかになった」と非難した。

こうした世論戦の激化により、憲法裁判所の判断はさらに遅れる可能性が高まっている。全国指標調査(NBS)によると、憲法裁判所の弾劾審判手続きについて「信頼する」との回答は51%、「信頼しない」は45%となり、誤差範囲(±3.1ポイント)内で意見が割れている。

また「憲法裁判所の判断が自分の考えと違っても受け入れる」との回答は54%に達したが、「考えと異なれば受け入れない」は42%だった。

弾劾を巡る世論が二分される中、憲法裁判所は単なる法理的判断だけでなく、社会的受容性を考慮せざるを得ない状況だ。いずれの決定を下しても、反対勢力による強い反発は避けられないとみられている。

(c)news1

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