2025 年 3月 15日 (土)
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「心理的内戦」100日…分裂と混乱、左右に引き裂かれた韓国社会 [韓国記者コラム]

ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の国民向け談話を伝えるソウル駅待合室のテレビ(c)news1

韓国の「非常戒厳」宣布(12月3日)から3月13日で100日。韓国社会は依然として、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾を巡る賛否によって深刻に分断され、混乱の度を増している。専門家の間では「心理的内戦」状態に陥っているとの診断も出ている。

政界が陣営対立に囚われ、社会統合への努力どころか、むしろ対立を煽っているという批判が強まっている。1987年の民主化体制以降で初めて、また1979年の「10・26事件」以来、45年ぶりに発動された非常戒厳令は、野党多数の国会構成という「与小野大」の状況下、政治的極端主義が招いた悲劇との評価が支配的だ。

ユン大統領は昨年12月3日、「非常戒厳」を宣布し、野党による一方的な法案強行と予算削減を厳しく批判した。ユン大統領は「自由民主主義の基盤であるべき国会が、今や自由民主主義体制を崩壊させる怪物と化した」と語った。

直前の総選挙で野党が圧勝し、与小野大の構図が定着したことにより、立法府と行政府の対立は激化した。政府の法案推進はことごとく国会で阻止され、野党主導の特別検察法や一連の弾劾推進が、今回の非常戒厳発動の導火線となったと指摘されている。

非常戒厳発動からわずか3時間後、与野党は国会で戒厳解除決議案を通過させたものの、その直後に始まった大統領弾劾手続きによって対立はさらに深まった。早期大統領選挙が実施される可能性が取り沙汰されるなか、与野両党は国家よりも戦略的な損得勘定に終始しているとの指摘もある。

保守系与党「国民の力」は、ユン大統領の「獄中政治」を通じて強硬支持層との結束を図り、憲法裁判所の正統性さえ揺るがす動きを見せている。特に、国民の力のソ・チョノ議員は集会で「憲法裁をぶち壊そう」といった過激な発言も厭わなかった。

一方、進歩系野党「共に民主党」も、首相の弾劾に続いて副首相の弾劾を予告するなど、政争に終始している。野党議員らはユン大統領の即時罷免を求めてソウル市内を徒歩で横断するパフォーマンスを展開し、一部議員は頭を丸めたり断食をしたりするなど、与党と同様に憲法裁判所への圧力を強める姿勢を見せている。

こうした政治対立が街頭で繰り広げられる間に、社会の混乱は危険水域を超えつつある。

ユン大統領の支持者2人が焼身を図る事件が発生し、一部の強硬支持層は裁判所に乱入して窓ガラスを破壊し、備品を壊すといった暴力事件も起きた。

ユン大統領は弾劾後も公邸前の支持者に対し、「皆さんと共にこの国を守るため、最後まで戦う」と発言した。拘束中の身でありながらも、弾劾反対集会の参加者に「国民が、青年がこの危機を理解してくれるなら、私の苦難など何でもない」とメッセージを送り、支持層の結集を図っている。

憲法裁判所が弾劾案を認めるか否決するかにかかわらず、すでに極端化した政界の対立と国民世論の分裂が、国論の回復を難しくしている。政界が対立の調整機能を完全に失い、分裂だけを助長しているとの批判が強まる一方だ。

明知大学のシン・ユル教授は「この100日間、韓国社会は二つの極端な陣営に分かれた。政党は問題解決よりもむしろ分裂に乗じている。憲法裁の決定に対する与野党代表の共同受諾宣言さえあれば、混乱は大幅に減少するだろうが、政界は国家・国民の安否よりも権力闘争にのみ没頭している」と批判している。【news1 ハン・ソンヒ記者、キム・ジョンリュル記者】

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