2024 年 11月 27日 (水)
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[KWレポート] 「海外でブレイクしたい!」Kスタートアップの試行錯誤 (2)

スタート時点でのグローバル市場攻略

「2020カムアップ」開幕式でムン・ジェイン(文在寅)大統領が祝辞を述べている©MONEY TODAY

「『井の中の蛙』では成長に限界」。これが韓国スタートアップの共通認識です。国内で成果を収めてもビッグにはなれない。それよりも「無限の可能性」にかけ、グローバル市場に打って出る――。世界に目を向ける「K-スタートアップ」の試行錯誤の現状を取材しました。(シリーズ2/3回)

◇グローバル化のレベルは依然低迷

海外市場に打って出る韓国スタートアップは自国経済の未来成長エンジン――韓国政府もこうみる。

関係省庁が昨年8月、合同で「グローバル4大ベンチャー強国」への飛躍に向けたベンチャー補完対策を発表した。その第1戦略も、ベンチャー・スタートアップのグローバル競争力強化だった。

補完対策のなかで、中小ベンチャー企業省は、海外ベンチャーキャピタルとのネットワークの拡大▽現地のアクセラレータとの連携プログラムの強化――などを整える。科学技術情報通信省は、国内スタートアップの海外技術協力▽ジョイントベンチャーの設立――を支援するとした。

韓国スタートアップの海外での成果は増えている。一方、国内スタートアップのグローバル化のレベルは依然低い。グローバル化促進のため、スタートアップの海外進出に向けた支援策をさらに体系化し、強化する必要がある。

グローバルな創業生態系分析機関であるスタートアップ「ジノム」。2017年、都市別スタートアップ生態系のグローバル連結・アクセス性を分析した。その結果、ソウルは最下位圏だった。

中小ベンチャー企業研究院が2021年、OECD諸国と比較した報告書でも、韓国のスタートアップは投資・新技術・競争程度などの要因に比べ、国際化が遅れていることがわかった。

中小企業研究院副研究委員のキム・ギマン氏はこう語る。

「まだ韓国内のスタートアップのグローバル化はまだ脆弱だ。政策的なドライブを果敢にかけていく必要がある」

海外進出の支援を専門とするコントロールタワーを指定したり、少数精鋭のスタートアップ企業を選抜し密着して支援したりするなど、「型破りな支援が必要」という状況にある。

スタートアップアライアンス取締役のイ・ギデ氏は次のように主張する。

「スタートアップの海外定着は、現地のアクセラレーターVCなど、海外スタートアップ生態系のメンバーとのつながりにかかっている。それだけに、政府がスタートアップと現地生態系のメンバーとの橋渡しの役割を強化すべきだ」

加えて、海外進出スタートアップの韓国での事業に支障が生じないよう、事業化、研究・開発など「バックオフィス」(後方支援)も充実させる必要がある、と指摘する。

◇これまでの公式とは異なる道

韓国内で成功を収め、海外に拡大する――これまで企業の海外進出は、このパターンがほとんどだった。だが、最近は「スタート時点でのグローバル市場攻略」を目指す。かつての公式とは異なる道を歩むスタートアップが増えている。そしていま、世界各地でK-スタートアップが活躍する。

この動きを支えるのが、しっかりした技術力やアイデア。これで武装し、海外市場の門を叩く。

人工知能(AI)を基盤とする学習プラットフォーム「クアンダ(QANDA)」を運営する「マスプレッソ(Mathpresso)」。クアンダの日本でのサービスを2018年11月に開始すると、4カ月でGoogleプレイストアとiOSアプリストア教育部門で人気チャート1位を記録した。

マスプレッソの関係者がその背景を次のように解説する。

「国ごとに教育システムが違うため、海外進出が容易ではなかった。幸い、韓国のデータベース(DB)のうち、数学が最も多くの部分を占めた。数学は他の科目に比べてグローバルで使われる共通言語ということもあり、アクセスが容易だった」

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