フランチャイズコーヒー売り場に勤める「協働ロボット(Collaborative Robot)」は、6つの関節を駆使し、正確にコーヒー抽出器に手を伸ばして、グラスを下げる作業を無限に繰り返す。こうして1時間、エスプレッソ80杯を抽出する能力を誇る。注文が殺到する出勤時や昼休みにも疲れを見せない強靭な体力で、アルバイト2~3人分の仕事を軽くこなす。
人の腕の形をした協働ロボットが日常生活に深く入り込んでいる。
精巧な動きを前面に出して産業・医療現場だけでなく、人件費の負担に苦しめられる外食産業の店舗にまで進出した。AI(人工知能)技術が加わると、協働ロボットの活用度はさらに拡大する。韓国市場シェア1位の「斗山(トゥサン)ロボティクス」を含む大企業がいち早く市場先取りに乗り出す理由だ。
◇斗山ロボティクス、2017年開発に成功
斗山ロボティクスはメガコーヒーに特化した協働ロボットのバリスタソリューションの開発を完了し、試用運転を開始した。
協働ロボットは人間と同じ空間で作業しながら相互作用効果を出すロボットをいう。製品の性能によって異なるが、最大25㎏までの重さの物を持ち上げることができる。1台当たりの価格は3000万~5000万ウォン(約330万~550万円)だ。
斗山ロボティクスは2017年、協働ロボットの開発に成功した。昨年の時点で13の製品群を保有した国内市場シェア1位の企業だ。約100の国内外販売チャンネルで、売り上げ全体の約60%以上を海外で上げている。
メガコーヒー売り場に投入された協働ロボットは、半自動コーヒー抽出器と連携してエスプレッソを抽出できるように設計された。エスプレッソを抽出しながら、次の作業を準備するという連続動作のため、作業時間を画期的に減らすことができる。
斗山ロボティクスは「キョチョンチキン」とも協業を進めている。協働ロボットの揚げ物ソリューションは、6つの揚げ物バスケットを同時に作業することができる。1時間に最大24羽のチキンを調理する。フライヤーの上部に設置されるため、スペースの活用度も高くなる。
外食業界関係者は「店舗で人件費と労働密度を一度に減らすことができる。顧客に同じ味とサービスを提供できるということもメリットだ」と説明する。
◇AI技術高度化推進…適用分野の拡大
協働ロボットにAIを加えた技術の進化は現在進行形だ。当初、入力値に応じて同じパターンだけでしか動かなかった協働ロボットは、状況を分析してカスタマイズされた行動を取ることができるようになった。
斗山ロボティクスとLG電子は今月、協働ロボット電気自動車(EV)の自動充電ソリューションを開発した。ドライバーが充電可能区域にEVを駐車すれば、協働ロボットに取り付けられたAIベースの3DカメラがEVの充電口の位置を把握し、ケーブルを自ら接続する。充電が完了したらケーブルを元の位置に戻す。
高級レストランシェフの腕前を再現し、特級ホテルのソムリエが注ぐワインをサービスする機能も搭載されている。ハンファロボティクスは、人の動作を学習するモーションキャプチャー技術を活用した。「キム・スルギ、ザ・プラザソムリエ」の「デキャンティング」(不純物除去のためにワインを他の容器に移すこと)と「ブリーディング」(ワインを回しながら空気と接触させること)を完璧に再現した「ソムリエ協働ロボット」を披露した。
各社は、AI技術と安全ソリューションを融合させた協働ロボットの開発にも拍車をかけている。ますます成長する市場対応力を高めるためだ。市場調査会社のマーケッツアンドマーケッツは、グローバル協働ロボット市場の規模を昨年の12億ドルから2030年には99億ドルに成長すると予想している。
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