韓国の現代自動車が先進運転支援システム(ADAS)用の半導体を直接開発することを決めた。5ナノメートル工程の半導体開発は、少なくとも1000億ウォン(1ウォン=約0.11円)以上が投入されるビッグプロジェクトだ。業界関係者が11日に明らかにした。
これに先立ち、現代自動車は昨年6月に半導体開発室を新設し、韓国サムスン電子システムLSI事業部で車両用システムオンチップ(SOC)「エクシノスオート」を研究してきたキム·ジョンソン常務を迎え入れた。
ファウンドリー(受託生産会社)はサムスン電子または台湾積体電路製造(TSMC)になるとみられる。現在、5ナノ工程で車両用チップを生産するファウンドリーはサムスン電子とTSMCだけだ。
サムスン電子とTSMCが今年から4ナノ以下の工程でも車両用半導体の量産を開始すると明らかにしているだけに、現代自動車が4ナノ以下の工程でチップ開発に乗り出す可能性もある。サムスン電子は年内に車両用として4ナノ(SF4A)、来年に2ナノ(SF2A)工程を開始する予定であり、TSMCは今年3ナノ(N3AE)を試験的に開始した後、2026年に本格的に3ナノ(N3A)車両用チップを生産する計画だ。
現代自動車が開発しようとする車両用半導体は、自動車市場で話題のソフトウエア定義車両(SDV)を支援するチップだ。 SDVは、ハードウェア中心の内燃機関車両とは異なり、ソフトウェア(SW)で車両を制御する未来の革新分野である。自動車の走行性能や便利な機能、安全機能までを含む。
現代自動車は2025年までにすべての車種に無線ソフトウェアアップデート技術を適用し、次世代共用プラットフォームと機能集中型アーキテクチャを統合してSDVへの転換を順次進めるという目標を掲げている。
現代自動車はこれまで1次部品メーカーから車両用半導体の供給を受けてきたが、直接開発に乗り出すのは最先端チップを円滑に確保するためだ。内燃機関車には半導体が200~300個使われているが、今後、電気自動車には500~1000個、自動運転車には2000個以上搭載されるため、半導体の重要性がさらに高まっている。
特に、2~3年前に車両用半導体の供給不足が起きた時、自動車メーカーはチップの確保に困難を来した。その後、独自のチップ開発および確保の重要性が高まった。完成車メーカーが直接車両用チップの開発に乗り出す理由だ。
現代自動車は、独自の車両用チップの開発のほか、車両用半導体の国産化率を高める方針だ。現代自動車は2025年からサムスン電子に車内に情報や娯楽を供給する「インフォテインメント」用の半導体の供給を受けることにした。また、現代自動車は自動運転用半導体を開発するスタートアップ「ボス半導体」に投資した。
業界関係者は「先端車両用半導体を確保してこそ、未来のモビリティー市場を主導できる。現代自動車は独自のチップ開発および搭載を通じ、グローバル自動車企業との競争で優位に立つという意思と解釈される」と述べた。
一方、現代自動車グループの関係者は「車両用半導体開発に関しては多方面で検討中だが、まだ何も決定されていない」としている。
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