北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が、米プロバスケットボールNBAの名将とバスケットボール?――9年前、ホワイトハウスの周辺でこの提案が語られていたと、米スポーツ専門メディア「ザ・アスレティック」が20日伝えた。
それによると、キム・ジョンウン体制の発足直後の2012年5月、オバマ米大統領(当時)の補佐官だったマーカス・ノーランド氏(米ピーターソン国際経済研究所副所長)が米朝関係改善に向けた策を大統領に報告した。
ノーランド氏はその際、キム・ジョンウン氏が学生時代、NBA、特にシカゴ・ブルズのファンだったという情報をつかみ、キム・ジョンウン氏に親近感を抱かせるためにブルズ出身の選手を北朝鮮に送る必要がある、と主張した。アスレティックは「当時の状況では非伝統的な外交官が役に立つとノーランド氏は考えた」と解説している。
当初、1990年代にブルズのスタープレーヤーだったマイケル・ジョーダンやデニス・ロッドマンの名前が上がったが、ノーランド氏はNBAのゴールデンステート・ウォリアーズの名将、スティーブ・カー氏を「適役」と考えた。
カー氏は1993~98年、ブルズでシックスマンとして活躍した。幼少時にレバノンで育ったため、国際情勢を見る感覚もあるという点も一役買った。だがノーランド氏の提案は「あまりにも急進的」という理由で実現しなかった。結局、ロッドマンが2013年、個人の資格で平壌を訪問し、キム・ジョンウン氏に会った。
これは、米大手紙ワシントン・ポストの北朝鮮専門家、アンナ・ファイフィールド氏が2017年に発刊した「The Great Successor(邦題・金正恩の実像)」に盛り込まれた逸話だ。ただ、カー監督はこの事実をアスレティックとのインタビューで初めて知ったという。「その後、オバマ氏に何度か会ったが、この事実については聞いていない。オバマ氏本人が話してくれていれば行っただろうが」とも話した。
もし、キム・ジョンウン氏との1対1のバスケットボール対決が実現していたら?――カー監督は「私は最善を尽くしたはず。ただメディアにはキム・ジョンウン氏に私が大敗したと出るはずだ」と語った。
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