バイデン米大統領は昨年5月、アジア歴訪の最初の訪問地として、日本ではなく韓国を選んだ。この60年間、歴代の米大統領はアジアで日本を真っ先に訪問していた。今回、その順番を覆したわけだ。
韓国で最初に訪れたのは米軍基地や大統領室ではなく、世界最大の半導体生産基地「サムスン電子平沢キャンパス」だった。半導体が経済安全保障の戦略兵器であり、米国主導の先端産業サプライチェーン再編と製造施設拡充の核心に浮上したことを示した瞬間だった。いわゆる「半導体ファースト」だ。
「産業の米」と呼ばれる半導体は韓国産業の核心となる輸出品だ。世界中のメモリー半導体(DRAM、NAND)で、「Made in Korea」の占める割合は60%に達する。一昨年、韓国の全輸出額の20%だ。
サムスン電子は1993年以降の約30年間、メモリー半導体1位の座を守り、「超格差」を維持している。SKハイニックスもサムスン電子に次ぐ2位の座を固めた。
今は「メモリー神話」を越えてシステム半導体まで領域を拡張中だ。特にサムスン電子は、世界初のファウンドリー(委託生産)最高集積度3ナノ工程量産で、技術競争力の高さを立証した。世界1位のファウンドリー企業である台湾積体電路製造(TSMC)を半年以上リードし、逆転の足場を築いた。
◇30年間メモリー超格差維持…半導体寒波にも耐える理由
サムスン電子は1992年、世界初の64M-DRAM開発後、DRAM市場1位になった。翌年の1993年からはメモリー半導体1位の座を維持している。
市場調査会社のトレンドフォースによると、サムスン電子は昨年、世界中のDRAM(売上高基準)の43%、NANDフラッシュの33%を供給し、王座を守ったものと推定される。世界で使われるDRAM10個のうち4個、NANDは3個以上がサムスン電子製品であるわけだ。
サムスン電子メモリー1位の基盤は技術「超格差」だ。約30年間、毎年自身の記録を更新し、圧倒的な技術競争力を見せてきた。
昨年のサムスン電子のDRAMの利益率は、ライバル会社に比べて5~10%ポイント優位にあったという。
メモリー半導体2位のSKハイニックスも技術競争力を高めている。同社の昨年のDRAMのシェアは28%、NANDは20%と推定される。
サムスン電子とSKハイニックスの半導体技術の進化は、輸出の増加や大規模設備投資につながっており、韓国経済の大きな原動力の一つになっている。
世界半導体市場統計機構(WSTS)によると、一昨年時点で世界の半導体の最終売上高は5560億ドル(約71兆5460億円)で、韓国のシェアは21%で、米国(55%)に次いで世界2位だった。
(つづく)
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