韓国で最近、金利引き上げとグローバル経済緊縮、景気低迷で投資が萎縮するなか、データセンターにはむしろそれが集中する状況になっている。
かつての生活型宿泊施設(サービスレジデンス)とマンションから、新型コロナウイルス時期を前後して物流センターに移った投資家が、DX(デジタルトランスフォーメーション)の本格化に注目し、データセンターに目をつけているのだ。
◇“特殊不動産”
新韓投資証券は今年3月、京畿道(キョンギド)龍仁(ヨンイン)の竹田(チュクチョン)データセンター開発事業PF(プロジェクトファイナンス)融資を成功させた。
事業を施行する「パシフィック資産運用」が調達した金額は計6280億ウォン。データセンター構築・運営はLGグループのシステム構築「LGシーエヌエス(CNS)」が担う。
新韓投資証券は7月にもソウル市衿川区(クムチョング)加山洞(カサンドン)に位置する加山データセンター開発事業関連PF貸出を単独主管した。開発が終われば、衿川区加山洞に地下5階・地上10階規模のデータセンターが建設される。主管事業を施行する「加山アイウィル」の調達金額は計3700億ウォンだ。
4月にはIBK企業銀行がソウル市永登浦区(ヨンドゥンポグ)楊平洞(ヤンピョンドン)におけるデータセンター新築事業PFの主管を引き受けた。
NH農協銀行不動産首席委員のキム・ヒョソン氏は「最近、不動産価格が下落し、金融市場自体が不安定となり、実物の不動産投資を手控える雰囲気がある。データセンターはこれまでの不動産とは異なる“特殊不動産”とみなすことができ、資産運用会社でも多くの事業を検討している」と指摘する。
◇海外「大手」が集結
海外投資家の関心も熱い。
米データセンター運営会社デジタルリアルティは今年初め、ソウル市麻浦区(マポグ)上岩洞(サンアムドン)にデータセンターをオープンした。来年の竣工を目標に、京畿道(キョンギド)金浦(キムポ)にも大規模なデータセンターを建設している。
カナダの公的年金積立金運用機関のカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)も、韓国不動産開発会社パシフィック資産運用と合弁会社を設立し、京畿道龍仁にデータセンターを建設する計画だ。
シンガポール政府系投資ファンドGICも今年1月、データセンター保有・リースを手掛けるエクイニクスと5億2500万ドル規模の合弁会社を設立した。また3月に韓国に超巨大規模(xScale)データセンター2カ所を設立するという計画も発表している。
エクイニクスは米最大のデータセンター賃貸・委託運営企業で、世界24カ所にデータセンター200カ所以上を運営している。現在建設中の「SL2x」は来年第4四半期の完工を目標にしている。SL2xには計2億1000万ドルが投資され、6600平方メートル以上のコロケーション空間を提供し、22MW(メガワット)電力容量を提供する。
4月にはシンガポールデータセンタープラットフォーム「デジタルエッジホールディングス」がSKエコプラント(旧SK建設)とともに、仁川市(インチョンシ)富平区(プピョング)に韓国最大規模の商業用データセンター設立計画を発表した。センターは計120MWの電力が供給され、10億ドル以上が投入される。SKエコプラントによると、年末に着工した後、2024年末にサービスの準備を終える計画だ。
米市場調査会社アリッツトンは、韓国データセンター市場が2021年の39億ドルから2027年は58億ドルに成長すると予想している。アジア主要国家とのネットワーク連結性が緊密な韓国が、データセンター設立にも肯定的な要素を備えているという意味だ。特にソウルは国内データセンターの40%以上を占めるほど、好まれている。
ある業界関係者はこんな話をささやいた。
「韓国は東アジア市場進出に地理的利点が多く、AWS(アマゾンウェッブサービス)やMS(マイクロソフト)、グーグルなどビッグテック企業はもちろん、これより規模が小さいグローバル企業の垂涎(すいえん)の的になっている」
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