2024 年 10月 18日 (金)
ホーム特集KW レポート 韓流ブーム便乗、K-フードが海外攻略 (1)

[KWレポート] 韓流ブーム便乗、K-フードが海外攻略 (1)

「bibigo」を前面に韓国料理を浸透

(c)NEWSIS

グループ「BTS(防弾少年団)」、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)ドラマ「イカゲーム」などの韓流ブームに支えられ、韓国料理が各国に広がりを見せている。餃子、キムチ、チョコパイ、ラーメンを例に、「K-フード」による海外攻略の現状を探った。

◇野心的展望

「世界の人々が、少なくとも週に1回、韓国料理を食べることになるだろう」

こう打ち上げた韓国の企業家がいる。韓国の食品大手「CJ第一製糖」のイ・ジェヒョン(李在賢)会長だ。イ会長がこの展望を打ち上げたのは約10年前。それが今、現実味を帯びている。

同社のグローバル食品市場への進出は1960年代に遡る。

1953年、韓国の財閥サムスングループ初の製造業として、「第一製糖」の名前で設立された。創立9年目の1962年には砂糖の輸出を開始し、1980年には韓国食品業界で初めて輸出1億ドルを達成した。

2002年には中国に工場を設立して、韓国の代表的な調味料「ダシダ」の生産を開始し、グローバル企業としての基礎を固めた。

この間、サムスングループから1993年に分離・独立している。

(c)NEWSIS

◇ノウハウを凝縮

「bibigo」(ビビゴ)――CJ第一製糖が蓄積してきた韓国料理のノウハウを凝縮したブランドだ。2011年にお目見えしたこの「bibigo」がいま、同社をグローバル企業に成長させるけん引役を果たしている。CJ第一製糖は、海外で販売する製品ブランドをすべて「bibigo」に統合し、海外市場の攻略を図っているのだ。

海外進出の初期段階では、韓国料理レストランに加工食品を販売し、そこを拠点に“K-フード体験”を広げる手法を取った。2013年には、現地の加工食品市場にもターゲットを広げ、消費者が手ごろな価格でK-フードを買い求めることができるようにした。

そのために、同社が打ち立てた戦略は「『bibigo』を前面に押し出し、スーパーで購入できる“K-加工食品ブランド”との印象を与える」だった。そして「海外で通用する戦略製品」として選んだものが、いまや同社製品の代名詞にもなっている――餃子だった。

2013年に発売した「bibigo王餃子」が韓国でヒット商品になり、餃子市場の勢力図を塗り替えた実績があるからだ。

CJ第一製糖は海外に出す際、一口サイズの「bibigoミニワンタン」を主力に据えた。その際、製品名として、餃子を指す英語「Dumpling」ではなく、餃子を表す韓国語「マンドゥ」の英語表記「Mandu」を用い、それを繰り返し使うことによって、韓国式餃子と韓国食文化に対する関心や親密度を高めていった。

(c)NEWSIS

◇奏功した米大手冷凍食品企業の買収

CJ第一製糖は海外生産の基盤づくりを加速しつつ、グローバル事業を拡大してきた。

そのCJ第一製糖が大きく躍進する契機となったのが、2018年、米国2位の冷凍食品専門会社「シュワンズ(Schwan’s)」の買収だ。CJグループで過去最大規模のM&A(合併・買収)で、買収金額は2兆ウォンを超えた。

シュワンズ買収は奏功した。

米国での食品の売り上げは2018年の3649億ウォン(約379億円)から2021年の3兆3743億ウォン(約3500億円)に、約10倍に成長した。海外比率でみれば、2018年には食品売り上げ全体の14%に過ぎなかったものが、2021年には46%と大きく伸びた。

シュワンズ買収は単なる売上高の押し上げにとどまらない。

全米にクモの巣のように張り巡らされた流通網や生産工場を活用することで、「bibigo」をはじめとする多くの製品を販売できる道が開かれた。

これにより、シュワンズは米国アジアフード市場の占有率1位にのし上がる。K-フードも米市場の主流に定着する。CJ第一製糖にはグローバル化の基盤を確保する決定的な契機となったわけだ。

(c)NEWSIS

◇欧州市場での勢力拡大へ

CJ第一製糖のアジア市場での存在感も目を引く。2021年に日本や中国、ベトナム3カ国でCJ第一製糖が記録した食品売り上げは、約1兆ウォンに迫る。

「餃子宗主国」としてのプライドの高い中国でも「bibigo」は「韓国式餃子」として人気を集める。日本では、お酢ドリンク「美酢(ミチョ)」が年間売り上げ1000億ウォン台のブランドに育っている。

CJ第一製糖の視線はいま、欧州に向けられている。

今年7月、ドイツで「欧州中長期成長戦略会議」を開き、餃子と加工ご飯、韓食チキンなどグローバル戦略製品を前面に出して、2027年までに欧州食品事業の売り上げを5000億ウォンに引き上げるという目標を発表した。

欧州内でK-フード市場という枠を越え、「アジアフード」という形で本格的に市場に参入する。同社は今年5月、欧州市場を攻略するため、前哨基地として英国に現地法人を設立した。餃子のほか、春巻きなどの点心(中華料理の軽食)まで販売する計画だ。

CJグループのイ・ジェヒョン会長の長男で、CJ第一製糖経営リーダーのイ・ソンホ氏が食品成長推進室長に選任され、グローバル事業の強化を図ることになっている。

(つづく)

(c)NEWSIS

RELATED ARTICLES

Most Popular