青瓦台の土地を売るって…詐欺だろうか
メタバースが普及するにつれ、新しいタイプの犯罪が浮上しています。メタバースの陰の部分、ダークバースに焦点を当ててみました。(シリーズ5/6)
◇「価値が上昇します」
「アース2は第2の地球のための未来概念です。メタバースの仮想の土地は、時間の経過とともに価値が上昇します」。2020年11月に登場した「アース2(Earth2)」という業者が投資家を募集する宣伝文句だ。
グーグルマップの上に区画(10×10メートル)を引いて仮想の土地を販売し、取引を支援する。また「改善負担金」という名目で取引相場差益分の5%を得る。月や火星の土地を販売するとして1980年代に登場した業者「ルナエンバシー」のメタバース拡張版概念と変わらないように見える。
それでも「アース2」は、物理的な土地とほぼ同じ方式で世界の主要箇所の土地を先取りしなければならない、として投資を煽っている。実際「アース2」では旧大統領府の青瓦台(チョンワデ)の敷地一帯が中国国籍の投資家所有になっている。この仮想の土地価値は1万9990ドルで、現実では所有できない韓国政府の土地が、国産中型車1台の価格で取り引きされる。
◇「仮想不動産」現金化は可能か
仮想不動産を売って現金化は可能だろうか。
「アース2」の場合には現金化する過程が複雑だ。まず「アース2仮想カード」を発給され、仮想の土地販売代金をチャージした後、これを海外暗号資産(仮想通貨)取引所である「バイビット(Bybit)」で暗号資産を購入し、国内取引所に移さなければならない。仮想カードを発給されることからグーグルOTP認証、KYC身元認証など、踏まなければならない手続きが複雑で、初心者投資家がアクセスするにはハードルが高い。
現金化が不可能なメタバース土地も多い。
ビットコイン・イーサリアム(Ethereum)などメジャー仮想資産で特定メタバースプラットフォームだけで使われる暗号資産を購入し、仮想の土地を分譲されたが、仮想資産が上場された取引所がなく現金化できない場合だ。「アース2」も土地所有者に追加収益を与えるとして暗号資産を発行したが、現在まで上場された取引所はない。
投資家保護装置が全くない点も問題だ。
メタバースプラットフォーム運営者が突然サービスを中止したり、ハッキングされてサービス運営が不可能でも投資家のための保険や制度的装置がない。それでもメタバース土地分譲業者らは「今、早く買わなければ遅れる」と投資を煽っている。限定された実際の土地とは異なり、メタバース上で類似した不動産サービスが継続して生まれるにもかかわらず「希少性」を前面に出す。
韓国政府や学界などの専門家らは、実在しない仮想の土地に投資することを警告する。それでも投資家がメタバース人気に便乗する理由は短期間で高収益を期待するためだ。実際にメタバースプラットフォーム「サンドボックス(Sandbox)」の場合、相場が2019年末で約5万ウォンから2021年末1500万ウォンに約300倍上昇した。
(つづく)
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