アバターによる性犯罪摘発、現行法に壁
メタバースが普及するにつれ、新しいタイプの犯罪が浮上しています。メタバースの陰の部分、ダークバースに焦点を当ててみました。(シリーズ2/6)
◇アバターは人ではない
現在、メタバースプラットフォーム上で発生し得る問題に、政策的、技術的な手段を講じられようとしている。
しかし、そこに問題がある。
現行法上、アバターを通じたセクハラ・性暴行など非倫理的な行為を制裁するのに適切な規定がない――という点だ。特定対象に対するセクハラなどで不安感と性的羞恥心を感じさせる場合、処罰できる条項はある。
だが、人ではないアバターに対する行為は処罰できる条項がない。
これに対し、野党「共に民主党」のシン・ヒョンヨン議員は今年6月、デジタルキャラクターを対象にした性犯罪を制裁できるようにする内容の情報通信網法改正案を代表で発議した。改正案によれば、オンライン空間内「性的人格権(望まない性的対象化にならない自由を保障する権利)」侵害行為を情報通信網上「流通できない情報」に含ませ、プラットフォーム事業者がこれを管理しなければならない。
シン議員は次のように訴える。
「オンライン空間で起きる新たな性的加害行為は、インターネット使用量が多い10代が主に被害を受け、ストーキングにまで発展するなど犯罪形態が非常に多様化している。デジタル性犯罪の場合、一度流布しただけでもその被害が深刻なので、徹底した犯罪対応体系を整え、被害者を手厚く保護しなければならない」
同党のユン・ヨンドク議員も今年7月、メタバース内の性犯罪やストーキング行為に対する処罰条項を盛り込んだ情報通信網法の一部改正案を代表で発議した。メタバース内の仮想空間で、他人のアバターに性的羞恥心や嫌悪感を引き起こす行動をしたり、他人のアバターが拒否するにも関わらずストーキング行為をしたりすれば、懲役1年以下または1000万ウォン以下の罰金に処することができるようにする。
◇官民「メタバース倫理原則」作りなど議論
メタバース産業発展のための社会的議論も本格化している。
多様な環境の人々と出会うことができ、現実では不可能な多様な経験ができるメタバースの長所は発展させる。だが、性犯罪のような副作用は制度改善によって整備する――これが韓国政府の方針だ。
政府はメタバース関連中央部署と民間専門家が参加する「メタバース経済活性化民官TF」と「メタバースアライアンス倫理制度分科」を立ち上げ、メタバース産業発展のための法制度整備方案を議論している。情報通信政策研究院(KISDI)が提案した「メタバース倫理原則」草案も整えた。
「メタバースアライアンス倫理制度分科」のイ・スンミン委員長=成均館(ソンギュングァン)大教授=は「メタバース逆機能解消のために法的・社会的規範が議論されているが、そのためにメタバース倫理原則を構築するなら、開発者、プラットフォームサービス提供者、サービス利用者などメタバース生態系参加者が共感し、活用できる規範でなければならない」と指摘する。
科学技術情報通信省でメタバース政策を総括するホ・ウォンソクソフトウェア政策官は次のような目標を掲げる。
「韓国がメタバース強国に跳躍するための政策ビジョンを達成するためには、メタバース振興のための官民協力体系とともに逆機能解消が重要だ。メタバース倫理原則が学校現場で教育教材、メタバース企業のコミュニティガイドラインなど実際の産業現場で活用できるよう、関連部署、専門家、業界、市民団体などの意見を幅広く取りまとめ、年末までに最終案を集約する」
(つづく)
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