2024 年 12月 28日 (土)
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[KWレポート] あふれる雇用、疎外された20代 (3)

「スペック戦争」で生き残るため数千万ウォン

ソウル市冠岳区のソウル大体育館で開かれた「2022下半期ソウル大学採用博覧会」に参加した学生ら©news1

韓国の各分野で働き手が見つからないという問題が起きています。一方、20代の若者をみれば、仕事を見つけられずに苦しんでいます。この雇用の「ミスマッチ」、なぜ起きるのでしょうか。(シリーズ3/5)

◇「中古新入」の比率約35%

韓国の採用市場で、各種資格や語学の点数、インターン経歴といった「スペック戦争」はますます深刻化している。

就活生は就職準備における最も高い壁として「スペックの上方平準化」を挙げる。さらに、目立つ点は、6カ月ないし1年間の「ミニ経歴」も一つのスペックとして位置づけられていることだ。

昨年、求人・求職マッチングプラットフォーム「サラムイン」が実施したアンケート調査によると、「中古新入」(インターンなど関連分野での経歴のある新入社員)を採用した経験のある企業(437社)を見ると、新入社員全体の中で「中古新入」の比率は34.7%だった。2020年の26.1%から1年間で7.6ポイント上昇した。

就活生もスペックの上方平準化を実感している。

新型コロナウイルスの感染拡大後、2年近く保険関連企業を目指して就職活動をしているシンさん(女・27歳)は次のように語る。

「新型コロナ以後、新入社員の採用は少なくなり、就活生が増えてスペックが上方に平準化されたことを体感している。新入社員の採用なのにTOEICや第2外国語の資格証どころか、関連分野での経歴が基本スペックとして位置づけられている」

◇他社には「経歴」として出せず

企業が採用方式を相次いで随時採用に転換し、経験者を好むことに対する不満も大きい。

1年近く公企業を目指しているキム・テヒョンさん(仮名・男・28)――。

「随時採用で経験者が優先されているため、一般採用選抜があまりにも少ない。入試のように『ランクを落として志願』して入社しても結局、満足できずに転職しようとする友人が大多数だ」

企業が先を争うように新たに作り出す採用方式に対しても不満をぶちまけた。

例えば「採用連係型インターン制度」。安いインターン労働力を数カ月間使って、いつでも追い出せる制度ということにほかならない。

「採用連係型インターン制度は、短くても1カ月、長い場合は半年。就活生としては、落ちれば終わりだが、他の会社には経歴として出すこともできない」

大学生のチョンさん(23)はこう嘆いた。

©MONEYTODAY

◇就職に必要なのも結局「お金」

金を稼ぐために仕事を探す就活生に最も必要なのは金だ。

大学卒業後6カ月間、就職活動中のAさん(26)は、履歴書の項目を満たすために35万ウォン以上支出した。適性検査の本を購入し、オンライン講義の費用まで合わせれば、費用は50万ウォンを越える。

「文系なので語学の点数と資格証を『もっともらしく』満たしておいた方が安心できる。後のための投資だと考えてもお金がたくさんかかり、たまに手に余ることもある」

Aさんはこう振り返る。

大学生のチョンさん(23)は次のように打ち明ける。

「企業が選考過程に新しいものを導入するので、それに一つ一つ歩調を合わせていくのも大きな壁だ。突然、企業から『国家職務能力標準(NCS)を導入する』『AI(人工知能)面接を導入する』と言われたりする。それに対応する準備にはお金がかかる」

就職準備に使った費用が多いため、就活生は年俸の高い企業に入りたがるのは当然だという反応だ。

チョンさんは「月収300万ウォンは超えなければならないと思う。自炊し、ギリギリの中で就職準備をした。友人の中には苦労して会社に入ったものの収入が期待に及ばず、2週間で辞めたケースもある」と強調する。

芸術・体育を専攻したイさん(29)は次のように訴えかける。

「今まで仕事を探すために授業料、レッスン費などに投じた費用は、数千万ウォンを越えるだろう。目標を低くし、まず年収の少ない会社から段階的に転職しろと言うのは、あまりにも若者の状況を知らないお気楽な話ではないかと思う」

(つづく)

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