仕事のあり方の幅を広げる
仕事をしながら休暇も同時に楽しむ「ワーケーション」(Work & Vacation)が新たな福利厚生として脚光を浴びています。休養地に拠点となるオフィスと宿舎を整え、交通費や生活支援金まで提供する企業もあります。韓国での現状を取材しました。(シリーズ3/4)
情報技術(IT)、プラットフォーム業界などを中心に起きているワーケーションブームが、新しい勤務形態として定着するだろうか。
ワーケーションに対する視線が交錯する。
休暇地で勤務できるという変わった長所を歓迎する人が多いが、果たしてきちんとした業務ができるのか疑問を抱く人もいる。
一方で、会社の職員らの業務形態の選択権を広げるという点で、意味のある試みとしても受け止められている。
◇会社員10人に8人「ポジティブ」
ワーケーションは「新たな福利厚生」として登場した。それゆえ概して、良く見られている。
ジョブコリアが昨年末、会社員を対象に「ワーケーションについてどう思うか」と尋ねるアンケートを実施したところ85.2%が「肯定的」だと答えた。
人事担当者もまた、ワーケーションを肯定的に見ている。
韓国観光公社が企業の人事担当者を対象に、ワーケーションについて調査した結果、63.4%が肯定的だと答えた。生産性向上に肯定的だと答えた比率は61.5%であり、職務満足度増大84.6%、職員生活の質改善92.3%、福利厚生向上98%という結果だった。
職員の反応が大きく、業務効率性も大きく損なわないとみられている。それだけに会社としてもこのような「ニンジン」を与えない理由がないわけだ。
新型コロナが2年以上続き、リモート勤務が十分に定着したことの影響も少なくない。
ネイバー系列会社の一つである「LINEプラス」は、リモート勤務形態のワーケーションを実施する代表的な企業の一つだ。
LINEプラス関係者によると、LINE全体の職員の約53%が完全在宅勤務を進めており、会社への出勤を週2回以下だけの人は全体の92%に達する。
これに加え、7月からは日本、タイ、インドネシアをはじめ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、モルディブ、ニュージーランド、オーストラリア、グアム、サイパン、台湾などでも最長90日の海外リモート勤務が可能になった。
「物理的な場所の制限が減るので、現在、海外IT企業に勤める人が入社を志望するケースもある。採用の拡大に実質的に役立っているわけだ。昨年同期比のLINE入社志望率が30%程度高まり、現在進めている経歴公開採用でも志望者が着実に流入している。肯定的な指標が多く現れているのだ。再入社する人も増えている」
LINEプラス関係者はこう強調している。
(つづく)
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