チェMD自身もメイプルストーリーユーザーだった。それゆえ、キャラクターパンの核心といえるキャラクター選定にはそれほど長い時間がかからなかった。メイプルストーリーの中から、かわいらしく、大衆的なキャラクターを中心に選んだ。イエティ、オレンジキノコ、ピンクビーン、石の精霊、スライムがその主人公だ。
ただ、これらに似合うパンをマッチングする作業は容易ではなかった。チェMDは約15種類のパン候補群とキャラクターとのマッチングに苦心した。面白さだけでなく、しっかりした味にしなければならなかった。
何度も会議を重ね、最終的に5種類のパンを選定した。チェMDは「大衆的な味が重要なため、あまりに目立ったり、特色があったりするパンは除外した。スライムと似た緑色のパンを除いたのもこのため」という。
ティブティブシール(ステッカー)の製作もカギだった。
メイプルストーリーのイメージをそのままシール化するために「ドット」の形でステッカーを製作した。画素の低いメイプルストーリーのキャラクターを3センチほどステッカーにするのが難しかった。倍率を増やせば画素が割れる可能性があるためだ。チェMDは「高画質ステッカーの製作も可能だったが、顧客やユーザーに面白さを与えるためにはゲームキャラクターをそのまま再現することが重要だと考えた」と話した。
ゲーム会社とコラボした商品であるため、ゲームアイテムを贈呈するイベントにも力を入れた。
メイプルストーリーパンはパンを購入してスタンプ20個を集めれば、9500人に「ピンクビーンフィギュア」を贈呈するイベントを開いている。ほかにもスタンプ3個ごとに「メイプルモンスターチケットクーポン」を配り、数量に従ってパンクビーン(帽子)、甘いパンクニック(椅子)、ブルーマリンユニフォームセットを受け取ることができる。
チェMDはこれ以外にも、楽しさと味をともに感じられる商品を準備中という。地域で有名なパンをコンビニでも味わえるようにしたり、W杯に向けてオーダーメード商品を企画してW杯の熱気を盛り上げたりしているという。
チェMDは「顧客がどんな商品を選択するかはパッケージングのような要素に左右される。だから、顧客に面白さを与えられる商品をつくる必要がある。これを考え、顧客に小さな幸せを与えられるような商品を作ることが目標」と語っている。
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