韓国のロッテ百貨店が「江南(カンナム)1等百貨店」に跳躍すると宣言し、変化を図っている。このため商品企画者(MD)本部を江南に移し、外部から人材を引き入れるなど変化を試みている。ただ業界では、江南店そのものの状況が変わらない以上、実質的には難しいとの見方が出ている。
流通業界関係者によると、ロッテ百貨店は今月、MD本部事務室をソウル・明洞(ミョンドン)のビルから江南区三成洞(サムソンドン)の共有オフィスに移すことにした。職員だけでも230人余りが移ることになる。
これは「江南1等百貨店」の戦略の一環だ。江南には海外ブランド品・ファッションビューティー協力会社が集中する。MD本部を江南に置けば、出店ブランドとより効率的にコミュニケーションできる。事務所を三成洞に置いたのも、江南圏に位置する蚕室店と江南店の中間で2店舗を管理するためだ。
またロッテ百貨店は、ブランド品・マーケティング・デザイン部門の外部人材7人を迎え入れている。これも「江南1等百貨店」を狙うためと分析される。各分野でトップクラスの人材を引き寄せ、江南地域の百貨店のレベルアップを図る意図がある。
問題は「江南1等百貨店」と呼ばれるための、そもそもの核心店舗である「江南店」だ。年商は5000億ウォン台で、江南圏にある国内主要百貨店の中で売り上げが最も低調だ。
その理由は規模。江南店の営業面積は3万平方メートルに過ぎない。新世界百貨店江南店の8万6500平方メートルに比べると、3分の1レベルだ。規模が売り上げと直結することを考慮すれば、現状の店舗では売り上げを伸ばすには限界がある。
地域の特性も要因の一つだ。江南店は大峙洞(テチドン)にある。大峙洞は江南でも特殊地域とされる。学習塾が密集している影響で、商圏が発達していない。つまり購買力が低いという意味だ。近くに現代百貨店貿易センター店もあるため、近隣住民の集客もうまくいっていない。
また、江南店はこれといった海外ブランド品を誘致できていない。現在、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルの3大ブランドはもちろん、グッチ、ディオール、バーバリー、プラダの大衆性のあるブランドさえ入店させることができなかった。海外ブランドは出店時の店舗売り上げ・規模・商圏などを総合的に考慮しているからだ。
流通業界のある関係者は「『江南1等百貨店』という目標を掲げたからには、江南店の売り上げを押し上げられる現実的な方法を探さなければならない」と指摘している。
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