2025 年 12月 25日 (木)
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ソウルで2027年開催の宗教行事、支援のための特別法は「政教分離に背く」…韓国で相次ぐ批判

2027年ソウル世界青年大会発足式(c)news1

ソウルで2027年に開催予定の青年カトリック信者年次集会「第41回世界青年大会(ワールドユースデー)」を支援するための特別法案をめぐり、韓国国内の宗教界から憲法に定められた政教分離原則への抵触を懸念する声が高まっている。市民団体「宗教透明性センター」や仏教界を中心とする宗教団体33団体は12月22日、「国家予算を宗教行事に投じることは、宗教対立の火種になりかねない」とし、法案の再考を国会に求めた。

問題の法案は、世界青年大会を国際イベントとして公式支援するために、政府支援委員会の設置や、組織委員会への行政・財政支援の包括的な根拠を提供する内容となっている。組織委の要請により、関係省庁や公共機関がテロ対策、安全管理、医療、出入国支援などに「最大限の協力」をすることが盛り込まれている。また、大会記念のメダルや切手の発行、記念品販売事業の特例も含まれる。

こうした特例規定に対し、仏教界は「国家が特定宗教のイベントに対して異例の支援体制を整えること自体が、政教分離の原則に反する」と強く反発。特に「国家や自治体の責務」と「国家による支援」に関する条項について、国家財政の中立性が損なわれる可能性を指摘する。

さらに、民間企業や団体も含めて「特別な事情がない限り協力を要請できる」とする条文が、事実上の強制や圧力と解釈されかねないと批判している。また、組織委員会の解散後に残る財産の取り扱いについても、「類似の団体に寄贈可能」とする特例が設けられており、特定宗教団体への利益供与につながると問題視されている。

政府支援委員会の組織形態を巡っても議論は分かれている。初期案では首相直属の組織とされていたが、最近では文化体育観光省傘下に縮小する案が浮上している。仏教界は「公務員の宗教的中立性と職務の公正性を確保するために、国家機関の関与は最小限にすべき」と主張する。

一方で、特別法の支持者たちは、大会の公共性と国際的規模を根拠に国家支援の必要性を訴える。大会は近年、100万人以上が参加する巨大イベントに成長しており、猛暑や台風などの災害対応、出入国管理、医療支援など国家の関与が不可欠だという。

また、観光・経済波及効果も大きいとして「安全対策などの行政支援は、宗教とは無関係な公共サービスの一環」であると強調する。

しかし、政府側の文化体育観光省も慎重姿勢を示している。国会の検討報告書には、「宗教界の懸念に対し、法案審議前に公聴会などを通じた社会的調整が必要」との同省の立場が明記された。

さらに報告書は、「本法案はカトリックという特定宗教の行事を国家が支援するための法案であり、憲法第20条第2項の政教分離原則に反する可能性がある」との意見も掲載されている。

(c)news1

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