2025 年 10月 31日 (金)
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韓国、「原子力潜水艦時代」へ始動…トランプ大統領「承認」で動き出す「30年の夢」

8月26日、米フィラデルフィアのフィラデルフィア造船所で記念撮影に臨むイ・ジェミョン大統領ら=ハンファ提供(c)news1

韓国・慶州で10月29日開かれた韓米首脳会談の結果、韓国の原子力推進潜水艦保有が「30年の宿願」から現実のものになろうとしている。韓国型原子力推進潜水艦の建造事業の推進方式や具体的な能力については今後韓米で協議される予定だが、誰が・どこで・どのように建造するのかという輪郭は急速に明らかになっている。

トランプ米大統領は30日、SNS「トゥルースソーシャル」で「韓国が現在保有している旧式で機動性の劣るディーゼル潜水艦に代わり、原子力推進潜水艦を建造できるよう承認した」と明らかにした。

トランプ大統領は別の投稿で「韓国はフィラデルフィア造船所で原子力潜水艦を建造することになる」と述べた。この造船所はハンファグループが1億ドルで買収した場所であり、韓米の造船協力プロジェクト「MASGA(米国造船業を再び偉大に)」の象徴とされている。

トランプ大統領の発言は単なる「建造の承認」にとどまらない。中国や北朝鮮に代表されるインド・太平洋地域の軍事的脅威に対抗して韓国の防衛力を一層強化し、同時に停滞している米国の造船業に同盟国の協力を通じて活力を吹き込むという政治的な計算が込められているようだ。

韓国型原子力推進潜水艦の建造主体は、フィラデルフィア造船所を運営している韓国のハンファオーシャンが担う可能性が高い。ただし、この造船所は商船中心の設備を備えているため、核燃料の取り扱いや放射線安全のための別途のインフラ構築が必要である。政府は、原子力推進システムの核心である小型原子炉などを造船所以外の別の施設で製作し、潜水艦に組み立てる方式を検討中だ。

HD現代重工業もディーゼル潜水艦の建造経験があり、100MW級の一体型小型原子炉の開発に取り組んでいることから、協力パートナーとして取り上げられたが、現在のところ具体的な議論は進められていない。

韓国は商用原発とSMR(小型モジュール炉)研究の経験をすでに有しており、原子炉の自力開発は難しくないと評価されている。韓国型原子力推進潜水艦は20%未満の低濃縮ウランをベースとした設計から出発する可能性が高い。一部では、新たなSMRではなく、米国で現在使用されている原子力推進方式が導入される可能性もあるという見方が出ている。

10月22日に進水式を開いた張保皐ⅢバッチⅡの1番艦「蔣英実」(c)news1

◇最大の課題は核燃料の確保

原子力推進潜水艦の最大の課題は核燃料の確保だ。2015年に改正された韓米原子力協定では、核燃料の研究用使用後、米国の承認を経て核燃料の再処理および20%未満のウラン濃縮が許可されている。軍用の核燃料を確保するためには、協定の調整と米国の承認手続きが必要である。韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が今回の首脳会談で「燃料供給に対し決断を下してほしい」と直接要請したのもこのためだ。

ただ、トランプ大統領の承認が即座に事業の開始を意味するわけではない。伝統的に不拡散を重視する国際社会や、米国務省の立場は異なる可能性があるからだ。韓国内でも原子力推進潜水艦の導入について国民的共感は形成されているが、具体的な形態に関する議論はまだ熟していない。

原子力推進潜水艦事業の規模と期間は膨大になると予想されている。関連技術を備えていたとしても、SMRの開発、機体設計、システム構築、建造、試験などを含めれば10年はかかるとの見方が支配的だ。特に、原子力推進潜水艦は韓国軍が現在運用中の最新型3600トン級よりはるかに大きな6000トン級以上となる可能性が高く、「新たな領域」とされている。

海軍潜水艦「ソン・ウォニル」の初代艦長などを務めたチェ・イル 潜水艦研究所長は「1隻あたり2~3兆ウォンが必要だという見通しもある。一般的な建造費以外に設備投資や、低濃縮ウランを使う場合は約7年後の燃料交換および廃棄処理などをすべて考慮すると5兆ウォンは超えるだろう」と予測した。

国防省国防政策室が現在、原子力推進潜水艦導入案を本格的に検討中であり、韓米間で技術・燃料・法的問題を調整する実務協議チャンネルも準備中であることが伝えられている。政府関係者は「トランプ大統領の発言により本格的な協議が進められることになるだろう。具体的なロードマップが示される段階ではまだない」と述べた。

結局、韓国型原子力推進潜水艦の建造は、技術・外交・時間がすべて満たされてこそ完成される「10年の大計画」と言える。韓国の企業のインフラと生産能力、韓米原子力協定の改正と核燃料供給の協議、国際的な不拡散規範を突破するための外交力を同時に備える必要がある。

政府関係者は「実現が難しいと思われていたことが、今や手続きと時間の問題に変わりつつある。原子力推進潜水艦にもいくつかの等級があり、我々がどの程度の大きさにどのような装備を載せ、どう設計するか、良い潜水艦を作るための準備が新たな課題だ」と語った。

(c)news1

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