「配達アプリケーションで上位順位に露出するためには月8万8000ウォン(1ウォン=約0.1円)の『旗』アイテムを購入しなければならない。それも普通、4~5個は買わなければならない。1件当たり6000ウォンも配達費用を取られれば、取り分はほとんどない。でも、こうしてでも生き残らなければ貸出を返済できない」
ソウル市瑞草区でカフェを運営するA氏はこう苦悩を語る。
実際、自営業者の所得水準は時間が経つにつれ悪化している。
韓国銀行の「6月金融安定報告書」によると、自営業者所得指数はパンデミック直前の2019年第4四半期(10~12月)の100から昨年第2四半期(4~6月)97.9、今年第1四半期(1~3月)には92.2に落ちた。
最近では「最低賃金引き上げ」問題まで出てきて自営業者が感じる圧迫感はさらに大きくなった。
来年度の最低賃金を巡り、使用者側の提示は9700ウォン、労働者側は1万2000ウォンで対抗している。弱り目にたたり目で、日本政府の福島処理水放出と関連した“怪談”で飲食業界は二重苦に陥っている。
ソウル一帯で焼肉店を運営する自営業者B氏はこう吐露する。
「焼肉店の特性上、雇用しなければならないアルバイト労働者が多いが、最低賃金が1万2000ウォンまで引き上げられれば、本当に残るものが一つもない」
廃業を考える自営業者も増えている。
全国経済人連合会が今月2日発表した「自営業者2023年上半期実績や下半期展望アンケート調査」によると、自営業者のうち40.8%が「今後3年内廃業を考えている」と答えている。
◇韓国経済の重要な「軸」
ソウル市九老区でカフェを運営するC氏は「最近、カフェがあまりにも多くなった。そうでなくても競争が激しいのに、最低賃金まで上がるとは……。途方に暮れている」と話した。
現在、自営業者と中小企業は、韓国の経済システムの重要な「軸」に位置づけられる。専門家はこの「軸」の脱落を防ぐためにも、綿密な管理が必要だと強調する。
統計庁によると5月末基準で経済人口の中で自営業者割合は20%だった。
韓国経済研究院のチョ・ギョンヨプ経済研究室長は「多くの人が自営業を生業としている現実で、彼らが脱落すれば、福祉など社会的費用が多く発生しかねない。分配の側面でも悪影響を及ぼすだろう」と危惧する。
(つづく)
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