青瓦台の開放効果は光化門一帯に広がっている。
韓国観光公社のデータラボが分析した結果、青瓦台のあるソウル市鍾路区の先月の訪問者は1247万人で、前年同月比32.6%増加した。特に70歳以上の女性訪問者が60%増えるなど首都圏、青年層中心の訪問者タイプが地方、中・壮年団体観光客に広がった。100万人目の観覧客も忠清北道(チュンチョンブクド)忠州市(チュンジュシ)から久しぶりにソウルを訪れた73歳の女性だった。
青瓦台は光化門広場・景福宮(観光)~三清洞(サムチョンドン)~漢陽都城(登山)をつなぐ都心余暇・観光ルートを作っている。
今月初めまで国立現代美術館で開かれた「イ・ゴンヒ(李健煕)コレクション」とも相乗効果を出した。観光業界関係者は「今後、訪韓外国人観光客を引き入れるためのコンテンツとしても重要な役割を果たすだろう」と話した。
◇「文化遺産の価値を守ることができるのか」
青瓦台の観客100万人を肯定的な側面だけから見るのは難しいようだ。
連日の人波によって青瓦台が「オーバーツーリズム」後遺症に陥る恐れがあると憂慮されている。
実際、青瓦台の開放直後、境内の文化財施設を観覧客が壊す事故が発生。境内施設のトイレがゴミだらけになる。観覧客の違法駐車で住民の不便が大きくなる。あちこちで問題が生じているのだ。ソウル市が迅速に歩行環境の改善に乗り出したのも典型的なオーバーツーリズムが生んだ現象だ。
これは、ユン氏の大統領就任に合わせて開放を急いだためとも指摘される。
運営方法と今後発生する問題に対する関連省庁間の綿密な対応が不足している状況で、物理的な開放が先行し、雑音が生じているのだ。最近、憲法裁判所長公館前の登山路閉鎖論議で開放の意味が一部色あせたのも、同様の文脈と解釈される。
懸念の声は文化財関係者の間でも上がる。
青瓦台が持つ歴史的価値と空間に対する綿密な研究・調査が進んでおらず、まだ文化財にも指定されていない。文化財の保存・管理・活用に関する事項を調査・審議する文化財委員らが現場を視察したのも開放から1カ月以上がたってからだ。
理解が足りない状況で、観光客に開放されたため、文化遺産の価値が損なわれかねない状況にある。
韓国外国語大のイ・ヒョンギョン研究教授は、最近開かれた建築学会フォーラムで、青瓦台について「単純な開放ではなく、文化遺産空間として保護する部分は区分して、市民が青瓦台の意味を再発見できるような活用方法を検討しなければならない」と強調している。
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