2024 年 5月 8日 (水)
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韓国海軍が進む道 [KWレポート] 新冷戦の海 (1)

日韓米が実施した対潜戦訓練・捜索救助訓練(写真提供=韓国海軍)(c)MONEYTODAY

「大韓民国」号の前に、新冷戦の海が広がっている。韓国をはじめ、この海をめぐる各国の計算が複雑になっている。北朝鮮問題を除いて“沈黙の艦隊”も同然だった韓国海軍だが、その進むべき道に今、関心が集まっている。朝鮮半島の周辺各国が韓国の立場に関心を傾けているためだ。

◇これまでにない「南端」

「台湾問題で火遊びをする者は、必ず火で焼け焦げて死ぬだろう」。中国の戦浪外交の代表格である秦剛・国務委員兼外相が、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の発言を念頭にこう警告した。

ユン大統領は4月下旬の訪米に際し、外国メディアとのインタビューで、台湾情勢について「力により現状を変更しようとするいかなる試みにも反対する」と表明していた。秦剛氏はこの発言をとらえて、台湾を「火の用心区域」と名指ししたのだった。

そんな中、韓国海軍は同月3、4両日、日本や米国と共同で対潜戦訓練を実施した。済州島(チェジュ)南方の公海上で実施され、3カ国はともに北緯30度36分まで南下した。韓国海軍がここまで南下した例はこれまでになかった。

「21世紀の火薬庫」と呼ばれる台湾と400海里(740.8キロ)、中国側船舶による領海侵入が続く日本の尖閣列島(沖縄県)から300海里(555キロ)。韓国の原油輸入路である南方航路は近い。

◇欧州が関心

2017年4月に告知された韓国側の各種訓練区域(航行警報基準)のうち、最も南側にある区域は北緯32度線にとどまっていた。だが今回は、これよりさらに南下したわけだ。中国海軍の空母「山東」は、米国の軍事要衝地であるグアムから400海里以内の海域まで展開するという対抗措置に乗り出した。

フランス海軍哨戒フリゲート「プレリアル」は同13日、9年ぶりに仁川(インチョン)港に入港した。フランス軍首脳部は今年3月、韓国海兵隊を訪問し、韓米合同上陸訓練へのフランスの参加や、南太平洋でフランス軍が主導する合同演習への韓国の参加などについて話し合った。

これまで両国は、相手国の訓練を参観したことはあるが、参加したことはない。朝鮮半島海域に対する欧州の関心が高まっている――こんな様子が浮き彫りになった。

一方で、マクロン仏大統領は4月6日、中国を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を開いて、中国との蜜月を誇示する独自路線も示唆している。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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