
韓国政府が約10年間にわたり、総額2兆ウォンを投入して進めてきた「スマート製造革新支援事業」に対し、事後管理の不備による予算の浪費が深刻化しているとの指摘が出ている。すでに支援を受けたスマート工場のうち約1300カ所が閉鎖され、投入された巨額の予算のみならず、工場内で蓄積された製造データまで失われている実態が明らかになった。
国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会に所属するキム・ドンア議員(共に民主党)が中小ベンチャー企業省から提出を受けた資料によれば、2014年から政府支援で設立されたスマート工場のうち、既に1321カ所が閉鎖されたという。これらの工場には約729億ウォンの国費が投入されていた。
特に問題視されているのが、工場閉鎖とともに消失する「データ」。スマート工場では、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット技術などを活用して、生産・品質・設備に関する各種データをリアルタイムで収集・蓄積している。しかし、工場が閉鎖されるとこれらのデータもシステムごと廃棄されてしまうのが現状だ。
キム・ドンア議員は「閉鎖された工場のデータをAIに学習させることで新たな製造革新産業が生まれ、類似業種の中小企業もこれらのデータを活用して試行錯誤を減らし、経営効率を高める好循環構造を構築できる」と提言した。さらに、政府のスマート製造政策をこれまでの設備・装置中心の「ハードウェア支援事業」から、データを基盤とする「持続可能な公共資産管理体制」へと転換すべきだと強調した。
同省はこれに対し「スマート工場の支援契約段階で、工場が閉鎖された場合のデータ回収方法などについても今後検討していく」と回答したという。
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