ソウルの都心の真ん中を横切る鉄道を地下に移そうというユン・ソンニョル(尹錫悦)韓国大統領の「都心鉄道地下化構想」が実現に向けて動き始めた。政府とソウル市は「鉄道施設の地下化や地上部分の開発などに関する特別法」(仮称)制定のための協議を進めるなど作業の速度を上げている。
鉄道の地下化はこれまで与野党を問わず推進に前向きだったが、莫大な財源と低い経済性などに足を引っ張られ、実現の見通しは立っていなかった。今回、政府は特別法を作って必要な財源を調達し、事業推進の原動力として確保する方針だ。地下化に合わせて地上部分の大規模開発を可能にする法的根拠も整える。
国土交通省はソウル市などと今年後半に特別法を制定するための協議を進めている。
現在、ソウル市の地上鉄道区間は▽京釜(キョンプ)線▽京仁(キョンイン)線▽京義(キョンウィ)線▽京元(キョンウォン)線▽京春(キョンチュン)線▽中央(チュンアン)線――の6路線の地上区間71.6km、都市鉄道(2・3・4・7号線)4路線の地上区間29.6kmの計101.2kmだ。
既存路線の撤去と地下鉄道の新設費用が二重にかかるため、事業費は45兆2000億ウォン(約5兆円)と推定される。
国土交通省関係者は「鉄道地下化事業は費用や経済性だけでなく、複雑な規制のため推進が難しかったが、特別法制定によって中長期的な計画を立て、優先順位を付けて段階的に事業を進めることが可能になるだろう」と説明している。
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