「2025年末にはヒューマノイドロボットで運営されるカフェをオープンするのが目標です。ロボットが単にコーヒーだけを作るのではなく、掃除もして皿洗いもする、本当のロボットカフェです」
韓国のロボット研究・開発「ロブロス」のノ・スンジュン代表は、現状のロボットカフェは「一般カフェと変わらない」とみる。
決められたプログラム通りに飲料を製造する機械があるだけ。お客さんが帰ると食器を回収・皿洗いし、飲み物がこぼれると認識して掃除する――などはロボットでは対応できず、すべて人手が必要だ。
本当の人間のようなロボットが、この「人手の役割」まで担うカフェ。ノ・スンジュン代表が語る「本当のロボットカフェ」とは、これを指す。
ノ・スンジュン代表の計画は最近開発中の「模倣学習」基盤のAIロボットをベースにしている。
模倣学習ロボットはAIが状況に応じた人間の行動を学習し、これをそのまま模倣する方式で動く。開発者が事前にロボットの動きをコーディングし、そのまま動くルールをベースにしたロボット――とは原理が違う。
模倣学習ロボットをロブロスが初めて開発したわけではない。米国のテスラやフィギュアAIなどのビッグテックは、数年前から模倣学習ロボットの開発を進めている。
幼い子どもが大人の行動を真似しながら学習するのと同じ方式で学習するロボットであり、「本当のヒューマノイドロボット」と評価されている。
スタンフォード大学とグーグルディープマインドは当初から、模倣学習ロボット「モバイルアロハ」の模倣学習関連技術をオープンソースとして公開し、誰でも使えるようにした。
ロブロスも模倣学習ロボットの開発に乗り出した。ノ・スンジュン代表は「人が先に2種類の色のブロックを一つに混ぜ、色によって異なる箱に入れる行動を500回繰り返すと、ロボットは90%の精度でこれを模倣することに成功した。この部分ではモバイルアロハより性能は向上している」と話した。
ロブロスはこのロボットを高度化し、カフェなどサービス業の業務に活用する。
ノ・スンジュン代表はカフェの場合、サービス業ながら比較的業務がやさしく、模倣学習が容易だと考えている。昨年、ソウル・聖水洞で、ルールをベースとしたロボットで構成されたロボットカフェ「ベラダンユアーズ」を開き、業務などを分析した。ノ代表は「カフェの従業員が1カ月だけ働けば、ロボットが学習して自ら動くようにすることが目標」という。
市場に似たようなロボットを開発するビッグテックがあるが、ノ代表は心配しないという。
「LLM(大規模言語モデル)のようなソフトウェアAIはオンラインデータを学習するためにビッグテック中心の生態系にならざるをえない。だがロボットAIはオフラインでデータを収集・学習しなければならないので、皆が同等なスタートラインに立っている。ビッグテックがまだ参入していないサービス業に先行して取り組めば、市場をリードすることができるだろう」
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