韓国で65歳以上の高齢自営業者が抱える負債は年収の10倍以上に達していることが金融研究院の報告書「高齢層自営業者の負債状況と示唆」で明らかになった。
報告書は、韓国の信用情報機関「コリアクレジットビューロー(KCB)」のデータを基に分析され、2023年2四半期時点での65歳以上の自営業者の平均負債残高は4億5000万ウォン(約4968万円)である一方、平均年収は4600万ウォン(約507万円)にとどまっている。
これにより、65歳以上の自営業者の所得に対する負債比率(LTI)は10.2と集計され、負債が年収の10倍に及んでいる。一方、30代自営業者の負債残高は平均2億3000万ウォン(約2541万円)で、65歳以上の自営業者に比べて半分程度であることがわかった。また、年代が上がるほど負債規模が増加する傾向も確認された。
業種別に見ると、65歳以上の自営業者では小売業や飲食・宿泊業などの「過密業種」で負債規模が大きく、KCBデータによると、全自営業者の63%が過密業種に従事し、特に30代で70%、65歳以上で68%が過密業種に依存している。65歳以上の過密業種に属する自営業者の平均負債は4億6000万ウォン(約5082万円)で、非過密業種の4億1000万ウォン(約4526万円)と比べて顕著に高い。
さらに、ベビーブーム世代の退職が進む中で、高齢層の自営業者は増加傾向にあり、2023年には60歳以上の自営業者数が前年同期比で7万3000人増加し、全自営業者の36.8%を占めた。これに伴い、負債を抱えた高齢層の自営業者の廃業も増加しており、2023年に廃業した自営業者数は91万人を超え、前年比13.9%の増加を記録している。
加えて、所得が低く信用力が低い自営業者の大半は負債残高と延滞率が増加している。韓国銀行が今年9月に発表した「金融安定状況報告書」によると、低所得・低信用層の自営業者の負債額はそれぞれ132兆3000億ウォン(約14兆6257億円)と42兆4000億ウォン(約4兆6780億円)に達し、1年間で7兆1000億ウォンおよび10兆1000億ウォン増加した。また、脆弱な自営業者の負債延滞率は10.15%に上り、通常の自営業者の延滞率0.44%を大きく上回っている。
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