
「冬季五輪が開かれていることすら知らなかった」。ミラノ・コルティナ冬季五輪の期間中、韓国で最も多く聞かれた声だ。それは大会の存在感が、かつてないほど薄れていたことを物語っている。
世界的な潮流とは対照的だった。米国で中継権を持つNBCユニバーサルは、今大会最初の5日間の平均視聴者数が2650万人に達し、4年前の北京大会より93%増加したと発表した。世界では依然として五輪が巨大コンテンツとして機能している。
しかし韓国では「史上最悪の無関心五輪」との指摘が相次いだ。JTBCが単独中継した開会式の視聴率は1.8%。4年前、KBS、MBC、SBSの地上波3社が中継した北京大会の18%と比べ、10分の1水準にとどまった。大会前から関係者が懸念していた「関心不足」が、現実の数字として突き付けられた。
JTBCは今大会の国内独占中継権を確保。地上波3社との再販売交渉が決裂し、単独中継に踏み切った。「新しい五輪中継」を掲げ、JTBC本体と「JTBCスポーツ」の2チャンネル体制を敷いたが、地上波に慣れ親しんできた視聴者、とりわけ高齢層への浸透は限定的だったとの評価が出ている。
象徴的な場面が、スノーボード女子ハーフパイプ決勝だった。韓国勢最初の金メダルが懸かる大一番で、チェ・ガオンは1回目、2回目と転倒。するとJTBC本チャンネルはスノーボード中継を打ち切り、ショートトラックへ切り替えた。スノーボードは「JTBCスポーツ」で放送を継続した。
だが、この判断は結果的に裏目に出る。チェ・ガオンは3回目で劇的な逆転に成功し、金メダルを獲得。しかしその瞬間を、多くの視聴者がリアルタイムで共有できなかった。独占中継でありながら最大の名場面を広く届けられなかったことは、重い課題として残った。
一方で、地上波3社も無関係とは言い切れない。中継権を取得しなかった各局は、過去大会と比べ五輪関連報道を大幅に縮小。ニュース用映像権も購入しなかったため、競技映像の代わりに写真中心の報道にとどまった。
ある地上波局は、JTBCが資料映像の提供に多くの制約を課したと主張した。これに対しJTBCは「従来の地上波の前例通り販売しており、他局と同条件で提供している」と反論。ただ、その後に具体的な再反論は示されなかった。
放送局同士の対立の狭間で、選手たちの汗と涙が埋もれていった。五輪は選手にとって夢の舞台であり、とりわけ非人気種目の選手にとっては4年に一度の貴重な注目機会だ。今回の混乱は、中継の本質が何かを改めて問いかけている。
問題は、これが一過性ではない点にある。JTBCは今後、ワールドカップ、ロサンゼルス五輪、アルプス冬季五輪、2032年の夏季五輪まで中継権を確保している。
このまま視聴者の離反が進めば、その影響は最終的に選手へと跳ね返る可能性が高い。大会を誰のために、どのように届けるのか。関係当局には、早急な対応が求められている。【news1 クォン・ハクジュン記者】
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